やめよう“体育座り”体に悪影響 中学校長が全生徒に「椅子」用意、痛み解放で喜び 57年前と今は違う

脱・体育座り、校長がパイプ椅子導入で生徒痛み解放

 埼玉県熊谷市立富士見中学校(橋本雅之校長)は本年度から「体育座り」を見直し、全校生徒に1人1台の「携帯型パイプ椅子」を導入した。橋本校長が以前より見直しを提案し、“脱・体育座り”が実現した。生徒は導入に好意的。理学療法士からは体育座りの悪影響を懸念し、見直す時期との指摘も出されていた。

 橋本校長などによると、体育座りが文部科学省による保健体育の集団行動指導の手引で説明されたのは57年前。体育の授業などで「腰をおろして休む姿勢」として紹介された。

 体育座りは床に尻をつけて両膝を立て、足を腕で抱えるようにして座る。学校では体育館や校庭で全校集会や説明会が年間約30回あるが、橋本校長は「床や地べたに直接体育座りで座ることに抵抗がある生徒も少なくない」と話す。長時間の体育座りで、「座骨など尻周辺の痛みや腰痛を訴える生徒も多い」とも。

 携帯型パイプ椅子に対する生徒の反応も上々で、導入を好評価する。

 熊谷総合病院の理学療法士、横山浩康さん(45)は「体育座りは、身体を丸める姿勢となり、脊柱本来の湾曲とは異なる。骨盤も後ろに傾き、身体の柔軟性低下や筋肉の使い方にも悪影響がある」と指摘。膝を抱え込む座り方のため、内臓を圧迫する危険性もあると説明する。その上で「うさぎ跳びが体に良くないということで禁止になったように、時代に合わせていくべきだと思う」として、負担の少ない座り方への転換を教育現場に求めている。

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