食料安保強化へ「転換点」 国内生産を拡大 農業白書決定

政府は26日、2022年度の食料・農業・農村白書を閣議決定した。食料安全保障について特集し、輸入に大きく依存する穀物や肥料の価格が高騰する現状を分析。「将来にわたって食料を安定的に供給していく上で、ターニングポイントを迎えている」とし、国内生産の拡大や、生産コストに見合った適切な価格転嫁の重要性を指摘した。

白書では、ロシアのウクライナ侵攻や円安の影響で、食料や肥料、飼料などの価格が高騰し「農業経営や国民生活に大きな影響を及ぼしている」と強調。一方で、生産コストの高騰を受け、価格転嫁した農業者の割合が1割程度にとどまることを取り上げた。

こうした中で、生産費を価格に考慮するフランスの「エガリム法」を例示。消費者の理解を得つつ、農家が「経営を継続できる環境を整備することが重要」とした。

食料安全保障の強化を図るため、水田の畑地化などを推進していることも報告。麦や大豆など「海外依存度の高い品目の生産を拡大していく必要がある」と指摘した。

一方で、65歳以上の基幹的農業従事者が全体の7割を占めるなど「農業者の減少・高齢化などの課題に直面している」現状も盛り込んだ。地域農業を持続的に発展させていくために、「農業の内外からの若年層の新規就農を促進する必要がある」とした。

農林水産物・食品の輸出額が1兆円を超え、過去最高を更新したことも紹介。輸出を拡大することは「国内の生産基盤を維持・拡大するためには不可欠」とまとめた。

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