茨城県知事 医師の偏在訴え 輩出バランスに疑問 文科省検討会

オンラインで開かれた検討会で意見を述べる大井川和彦知事=県庁

文部科学省設置の「今後の医学教育の在り方に関する検討会」の初会合が26日、オンラインで開かれ、全国知事会を代表して委員となった茨城県の大井川和彦知事が出席した。産婦人科や外科など、専門分野によって医師が不足する人材の偏在を訴え、「(大学の医学部が)教育機関として本当に必要な人材を送り出しているのか疑問」と指摘した。

検討委は医学部のある大学の関係者ら計17人で構成。医学教育の改善・充実、医学部の地域枠を含む医師養成の在り方、大学病院の教育環境充実などについて検討し、来年5月ごろ報告を取りまとめる。

大井川知事は、10万人当たりの医師数が全国46位(2020年時点)という茨城県の現状を挙げ「筑波大の医学部があるが、卒業生の半分以上が東京方面に行ってしまう」と説明。医療体制の維持に向け、知事自ら医者の確保に歩いているとし「正常な状況ではない」と強調した。

さらに、外科や産婦人科などのなり手がいなくなる一方、一部の診療科は人材が増えているとし、医学部の人材輩出のバランスを疑問視。地域の医師確保や医学部の地域枠などについて「(人材の)偏在を変えずに議論していても、問題の抜本的な解決にはならない」と訴えかけた。

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