ペルーの医師や理学療法士「障害者スポーツを広めたい」 先進地別府市で研修【大分県】

車いすバスケットボール体験したペルーチーム=別府市内竈の太陽の家
堀川裕二さん(右から2人目)からルールなどを聞くペルーチーム

 【別府】ペルーの国立リハビリ専門施設の医師や理学療法士が、障害者スポーツの先進地である別府市を訪れ研修を受けている。市内の医療・リハビリ専門機関、障害者支援施設などで、リハビリの技術や障害者スポーツなどについて学習。ペルーに戻り、障害のある子どもがスポーツをする体制の構築や指導力向上などにつなげる。

 ペルーでの障害児スポーツの普及促進などを目指す県理学療法士協会、国際協力機構(JICA)のプロジェクトの一環。同協会によると、ペルーでは障害児のリハビリは十分とは言えず、身体機能改善につながるスポーツの楽しさに触れる機会も乏しいという。

 プロジェクトは、理学療法士の広田美江(よしえ)さん(62)=大分市=がシニア海外協力隊員として2013年から2年間、ペルーで活動したことがきっかけ。同協会のチームがペルーの「国立障害者リハビリテーションセンター(INR)」の職員チームと22年から定期的に交流している。23年2月には日本側がペルーに出向いた。プロジェクトの期間は3年間。

 今回、INRチームが初めて来日。別府市で13日から約3週間、研修している。最先端の医療技術に触れ、リハビリとスポーツの深い関わりなどを確認。ボッチャやティーボール、車いすバスケットボール、ドローンサッカーなど多彩なユニバーサルスポーツを体験している。

 23日は太陽の家で卓球バレーの「指導者養成講習会」があり、日本卓球バレー連盟会長で県障害者スポーツ指導者協議会相談役の堀川裕二さん(66)=日出町=が講師を務めた。パラスポーツの歴史や競技の魅力を紹介。太陽の家利用者と一緒に実技をしながらルールや審判の仕方などを学んだ。

 INRの脊髄損傷部門小児担当の医師ルイス・アストカザさん(36)は「ペルーではまだ当事者も家族もスポーツを取り組めると思っていない。今回の研修を生かし、障害のある人もない人も楽しめるスポーツを伝え、広めたい」と話した。

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