県内「持ち直し」維持 日銀月例、個人消費と住宅投資は上方修正

 日銀山形事務所は26日、県内金融経済概況(月例)を発表した。基調判断は4カ月連続で「一部に弱さがみられるものの、基調としては緩やかに持ち直している」を維持した。個別6項目のうち、個人消費と住宅投資は判断を引き上げた。

 御船純所長は「海外経済の鈍化で外需に勢いがない中、現在の景気を支えているのは内需で、特にGDP(国内総生産)の過半を占める個人消費だ。物価は上昇しているが、コロナ禍で先送りされた需要に支えられ、コロナの5類移行も追い風だ」と指摘した。先行きについては「物価が下がり、実質所得がプラスになるかが注目される。ただ、外需の下押し圧力の長期化に注意が必要だ」と語った。

 個人消費は判断を「感染症の影響が和らぐもとで、持ち直している」から「緩やかに回復している」に上方修正した。行動制限緩和によって人流の回復が続き、3月の百貨店・スーパー販売(全店ベース)は7カ月連続、コンビニは13カ月連続、ドラッグストアは24カ月連続で前年を上回った。自動車販売もプラス基調が定着している。

 住宅投資は「減少基調にある」を「下げ止まりつつある」にした。昨春以降の大幅な落ち込みが一巡し、3月の新設住宅着工戸数は3カ月ぶりに前年より増えた。

 生産は「持ち直しの動きが足踏みしている」を続けた。スマホ、パソコン向けの需要減を背景に半導体の在庫調整が動き、関連業種の動きが弱まっている。

 設備投資も引き続き「前年を下回る動きとなっている」を維持。3月の建築着工床面積(民間非居住用)は製造業が減少したため、前年に及ばなかった。2023年度の設備投資計画は前年よりダウンしている。

 公共投資は「横ばい圏内の動きとなっている」、雇用・所得は「持ち直している」のままにした。

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