ふるさと納税10億円突破、立役者は「宅配クリーニング」 人気の理由は季節モノに大好評の看板サービス 西脇

西脇市のクリーニング業者「東田ドライ」の工場(同社提供)

 兵庫県西脇市へのふるさと納税の寄付額が2022年度、初めて10億円を超えた。返礼品の充実が功を奏し、21年度に比べ約45%増と大幅アップ。日本酒や和牛などの特産品が安定した人気を集めるが、急上昇の立役者となったのは市内の業者が提供するクリーニングの宅配サービス。市は「衣類の長期保管が人気を集めた」と分析している。(伊田雄馬)

 北播磨地域では家電製品の返礼品を持つ同県加西市が60億円以上と圧倒的な寄付額でリードし、同県加東市と西脇市が後を追う。

 西脇市は右肩上がりに実績を伸ばしており、20、21年度は県内8位を記録。22年度は前年度の約7億1千万円から、約10億3200万円に達した=グラフ。

 現在、返礼品の品目数は987品(期間限定品を含む)。もともと最も人気が高いのは市内の酒蔵で造られる日本酒で、2位は特産の黒田庄和牛だった。この間に割って入ったのが、クリーニング業者「東田ドライ」(同市下戸田)が提供する宅配クリーニング「リナビス」だ。

 人気の理由は、洗濯後の「12カ月保管無料」というサービス。かさばりやすいダウンやコート、羽毛布団などを同社の倉庫で、次のシーズンまで預かってもらえる。同社の看板サービスでもあり、「自宅や押し入れのスペースを空けられる」と好評という。

 リナビスは21年10月から西脇市の返礼品に加わり、22年度に初めて年間通じて提供された。衣類や布団など定番品から、登山靴、かばん、テントなど、幅広くラインアップしている。

 その結果、22年度は冬物の衣料品などのクリーニング需要が高まる4~6月を中心に寄付額が前年を大きく上回った。リナビスへの寄付額は全体の20.5%を占め、牛肉を上回る金額を獲得した。同市の担当者はリナビスの導入による効果を認めつつ、「人気返礼品を中心に写真を再撮影し、サイトを見やすくするなどの地道な努力も全体を押し上げた」としている。

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