落語はAIに負けない 8月、NGK 「吉例88桂文珍独演会」

独演会のポスターを前に、今年の演目などを説明する桂文珍=大阪市中央区のなんばグランド花月

 上方落語家の桂文珍(74)が毎年8月8日恒例となっている大阪・なんばグランド花月(大阪市中央区)での「吉例88第41回桂文珍独演会」の開催会見を行い、今話題となっている対話型人工知能(AI)「チャットGPT」に挑戦状をたたき付けた。

 今年はにぎやかな古典落語で師匠の五代目桂文枝(2005年、74歳で死去)が得意とした「船弁慶」と、国会で差別撤廃法案が提出され話題のLGBTQをテーマにした新作落語「携帯供養」の2席を披露する予定。文珍は「携帯供養」を作る際に、使用の是非を巡り論争が続く「チャットGPT」へ試しに制作依頼をかけたことを明かした。まず「面白くなかった」と総括。理由として、文章制作プログラム上で怒りや嘲笑、性的表現が出てこないようフィルターが掛けられていることを挙げ、「フィルター枠からはみ出しているのがわれわれ落語家の生きる道。“落語はAIに負けない”ということが分かりまして、とても喜んでおります」と胸を張った。

 古典と創作の2本を大リーグ・大谷翔平選手(エンゼルス)の投打二刀流にダブらせ、同選手が本塁打した際にベンチでかぶせられるカブトをまね新聞紙で自作した物を持参。「かぶとの緒を締め独演会を盛り上げ、文珍ワールドを楽しんでいただければ」とPR。

 ゲストの柳家花緑は公演がある8月に52歳の江戸落語次世代ホープ。30年前に22歳と戦後最年少で真打ち昇進した。「(五代目)柳家小さん師匠(02年、87歳で死去)のお孫さんで、関西以外で仕事を一緒にする機会は多いが、芸風がきっちりされていて上手。これからが楽しみな方です。毎年お招きするゲストは“これからグーっと上がっていく人”や“今、見とかなアカン人”に来てもらっている。今年は非常に有望な花緑さんにお出まし頂いた」と期待を込めた。

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