困難越えて芦屋市役所のカフェ半年ぶりに再開 スタッフは障害者ら、本格焙煎コーヒーも復活

再開したカフェでコーヒーの準備をするスタッフたち=芦屋市精道町

 兵庫県芦屋市役所本館1階(精道町)で、障害者の就労支援を目的にしたカフェ「ASHIYACafe」が再開した。元々運営していたNPO法人の代表が逮捕され閉鎖していたが、神戸市東灘区の一般社団法人が運営を担うこととなった。現在はプレオープン中で、6月21日に本格営業を開始する。(村上貴浩)

 芦屋市は2020年に本館1階北側のスペースを有効活用しようと事業者を公募。「ネスレ日本」(神戸市中央区)と芦屋市内に拠点を置くNPO法人が連携し、21年4月にカフェをオープンさせた。知的障害などがあるスタッフが軽食の準備や会計を担い、市民からは憩いの場として親しまれていた。

 しかし、22年末に同法人の代表理事(当時)が覚醒剤取締法違反の疑いで逮捕、起訴されたことで運営が困難になり、一時的に閉鎖。市は運営団体の選び直しを余儀なくされた。同市総務課の担当者は「市民から突然の閉鎖についての問い合わせもあり、なるべく早い再開を目指していた」と話す。

 新しく運営団体に選ばれたのは、障害者就労継続支援B型事業所などを運営する「ヤドリギアート」。ダウン症の長女(12)がいる代表の江藤恵美さん(46)が「娘たち、障害のある人たちがもっと楽しく過ごせる場所があれば」と考え、22年に設立した。神戸市東灘区鴨子ケ原3の作業所「ヤドリギワークス」で障害者が作った菓子などを販売している。

 今後はスタッフの募集や見学を実施し、6月21日から本格的に営業する。元々設置されていた最新焙煎(ばいせん)機などはそのままで本格的なコーヒーを楽しめる。プレオープン期間は限定メニューを全品300円で販売。今後は、3Dプリンターで型を作ったオリジナルのクッキーやホットドッグなども販売予定という。

 準備中には「再開するの待ってたよ」「頑張ってね」と多くの人から声をかけられたという江藤さん。障害への理解が広がることを目指し、商品を販売するだけでなく「カフェを中心に、地域の事業者や障害者が一緒になってものづくりを楽しめるような取り組みをしたい」と話した。

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