茨城・かすみがうら市 神立病院移転で覚書 複合施設計画を変更

茨城県かすみがうら市は26日、JR神立駅に近い同市稲吉南2丁目の市有地に計画していた複合交流拠点施設の建設を見直し、病院を誘致すると発表した。市有地2.8ヘクタールのうち2ヘクタールの貸与を前提に、近隣の神立病院(同県土浦市神立中央)と移転に関する覚書を交わした。誘致が実現すれば、かすみがうら市内で初めての「大型病院」となる。市内に空白となっている産科の開設も視野に、病院機能の充実を目指す。

この日の記者会見で宮嶋謙市長は「市民の医療水準の向上が図られ、土地利用による市街地の発展にもつながる」と話した。病院の用地を除いた残る0.8ヘクタールは、民間企業の誘致などで活用を検討していく。市内には入院病床がある病院や産科の医院がないという。

神立病院は医療法人社団青洲会が運営し、1984年に開院した。診療科は内科や外科、整形外科があり、病床数は160床。開院から約40年が経過し、改築が迫られていた。

市によると、4月に移転改築の意向を市側に示し、今月19日に覚書を交わした。

複合交流拠点は図書館や行政窓口、防災公園の機能を持つ施設として、前市長時代に計画されていた。2021年、基本設計に着手し、国の補助を受け総事業費約30億円で整備する構想を策定。市は事業用地として22年6月、神立駅から西に約700メートル、土浦市との境界にある民間企業の社宅跡地約2.8ヘクタールを約10億円で購入していた。

同年7月のかすみがうら市長選で、同計画の見直しを掲げた宮嶋市長が初当選し、市有地を都市公園にする考えを表明。複合交流拠点は建設地を変更し、駅から約500メートル北にある市の稲吉ふれあい公園(同市稲吉4丁目)などを候補にするとしていた。

市の発表について神立病院の担当者は「今の段階では何も決まっておらず、コメントは差し控えたい」としている。

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