青森県内観光 回復傾向/訪日客コロナ前の半分 日銀支店GW動向調査

 日本銀行青森支店は26日、今春の大型連休(GW)中の青森県内観光動向の調査結果を発表した。各地の宿泊施設、観光施設、道の駅、飲食店などを訪れた観光客数は2019年同期比マイナス25.1%と新型コロナ前には及ばないものの、昨年と比べて6.8ポイント上昇し、回復傾向が見られる。外国人観光客数は19年同期比でマイナス55.0%。インバウンド(訪日客)は20年以降ほぼ消滅していたが、今年は水際対策の終了などからコロナ前の半分近くまで回復した。

 調査は4月29日~5月7日の動向について、県内92カ所を対象にアンケートを実施。回収率は76.1%だった。

 物価高騰が続く中、各施設や店舗の販売価格に関する調査も併せて実施。1年前と比べ販売価格を「引き上げている」と回答したのは66.2%だった。このうち、引き上げ率(小数点第2位を四捨五入)は「10%未満」が24.6%、「10%以上20%未満」が29.2%、「20%以上30%未満」が7.7%、「30%以上」が4.6%。「引き上げていない」と回答したのは33.8%だった。

 引き上げた原因は「原材料等の仕入れ価格上昇」が55.3%と最も多く、「光熱費等のランニングコスト上昇」が31.9%で続いた。引き上げていない原因は「顧客離れの懸念」が半数を占めた。

 コスト上昇分をどれだけ販売価格へ転嫁しているかを示す「価格転嫁率」の平均値は27.7%。観光関連産業は他業種よりも低い傾向にあるという。「今後販売価格を引き上げる予定」としたのは66.7%。

 販売価格の引き上げを背景に、今年のGW期間の売上高は19年比でマイナス13.4%と前年より28.4ポイント増。客単価は19年を12.2%上回った。

 武藤一郎支店長は「観光需要は明るい動きになり、コロナ前にかなり近づいている」と分析。一方、コロナ禍による打撃がとりわけ大きかった観光関連産業では、値上げで再び客離れを招くことを恐れコスト上昇分の価格転嫁が十分に行えていない-と指摘、「今後さらなる需要改善を受け、価格の引き上げがされていくことが重要」と話した。

© 株式会社東奥日報社