アオモリトドマツ枯死被害、2万3000本 山形・蔵王、管理局調査

広範囲にアオモリトドマツが枯死した蔵王ロープウェイ地蔵山頂駅周辺=昨年10月、山形市

 山形市の蔵王山で樹氷を形成するアオモリトドマツの枯死問題で、枯死木の本数が約2万3千本に上ることが26日、東北森林管理局の調査で分かった。被害本数が具体的に示されたのは初めてで、全体の約15%に及んでいた。山形森林管理署などが現地で取り組んでいる稚樹の試験移植数は年間約30本。民間活力を活用し、植栽を加速させる必要性が改めて浮き彫りになった。

 アオモリトドマツ林の再生を目指す官民一体の組織「樹氷復活県民会議」のワーキングチーム会議が同日、山形市の県村山総合支庁で開かれ、益田健太同管理署長が報告した。

 同管理局は昨年9~10月にドローンで蔵王一帯の約1460ヘクタールを撮影し、アオモリトドマツの分布域や現状を調べた。分布域は約700ヘクタールで、この範囲で約2万3千本が枯死しているのを確認した。生きている木は約12万6千本だった。

 標高約1600メートルの蔵王ロープウェイ地蔵山頂駅周辺は、約16ヘクタールにわたり枯死木のみの状態となっており、本数は約6700本を数えた。被害の拡大は確認されなかった。地蔵岳の東や蔵王エコーラインの山形・宮城県境周辺も被害が大きく、他にも各地に枯死木が点在しているという。

 同管理署は2019年度、被害が少ない標高約1400メートル地点で自生する稚樹を、山頂駅そばの林地に植え替える試験を始めた。22年度までに計125本を植えたが被害本数に対する割合は低く、同管理署は民間の力を借り植栽規模を拡大する考えを示している。

 山形新聞、山形放送は2021年から、8大事業として「みどりのまなび 樹氷再生への歩みプロジェクト―やまがたの森ファミリースクール」を開催している。親子が試験植栽と同様の手法で稚樹を植えて樹氷再生に協力しており、民間による植栽活動のモデルケース的な取り組みとなっている。

◆アオモリトドマツの枯死問題 2013年にガの一種のトウヒツヅリヒメハマキの幼虫が大量発生し、大規模な葉の食害を引き起こした。16年にはほぼ収束したが、樹勢が衰えた樹木にトドマツノキクイムシが入り込んで内部を食い荒らし、枯死被害が急速に広がった。

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