立てこもり猟銃殺人…銃取得の規制を厳しくしても問題解決せぬ理由、狩猟者が語る 周囲の人も重要な役割が

埼玉でも起きた立てこもり猟銃事件。緊張が張り詰めた現場付近で警備に当たる警察官ら=2022年1月28日未明、ふじみ野市大井武蔵野

 長野県中野市で男が猟銃を発砲するなどし、警察官らが死亡した事件で、県警は26日、男の身柄を確保、警察官1人に対する殺人容疑で逮捕した。男は青木正道市議会議長(57)の長男の農業政憲容疑者(31)で、自宅に立てこもった。負傷して屋外に残されていたのは高齢女性と分かり、26日に死亡が確認された。死者は計4人になった。

■「猟銃の所持許可、運転免許よりも重い」/西秩父猟友会・竹内さん

 長年、猟銃などで有害鳥獣捕獲を行っている秩父市の竹内勝利さん(70)は「また、狩猟者のイメージダウンにつながってしまう」と肩を落とす。昨年1月にふじみ野市で発生した立てこもり事件の際も、環境保全に使われるはずの猟銃が凶器に化けて、大惨事を招いた。

 竹内さんが在籍している西秩父猟友会は、地域の狩猟者ら計約140人で構成。全国各地で狩猟者のなり手不足が問題視されている中、同会は「鳥獣対策で地域貢献したい」と、ここ数年20代の若者会員が増えてきている。「猟銃の所持許可は、運転免許よりも重い身分証明書」と、竹内さんは若者会員に教えている。

 猟銃による殺人事件が立て続けに起きているが、竹内さんは「結局は、使い手のモラルの問題なので、猟銃取得の規制を厳しくしても、問題解決にはならないと思う。自分の心身が不調だと感じたら、すぐに許可証を返納することが大事。周りの人も、いち早く本人の異変に気付き、忠告してあげてほしい」と話していた。

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