「三役全員と戦いたい」 朝乃山、課題と手応え実感

 元大関朝乃山が三役以上との3連戦を白星で締めくくった。12日目に関脇大栄翔、13日目に横綱照ノ富士に敗れ、今場所初めての連敗となったが、正代との元大関対決を制し、意地を見せた。自身の謹慎中に力を付けてきた今の三役陣の実力を認め「三役の全員と戦いたい。今のままの自分の力では勝てない」と上を見据える。一刻も早く三役と肩を並べるためにも、千秋楽の白星をつかみにいく。

 土俵に上がった朝乃山に気負いはなかった。前日に横綱照ノ富士に6度目の苦杯をなめたが、その悔しさを引きずらず、集中していた。鋭い立ち合いから一気に正代を仕留め、2年前の夏場所以来となる三役からの白星を手にした。

 東前頭14枚目で臨んだ今場所。本来であれば、三役以上の力士との取組はないが、優勝争いに絡む活躍を見せ、「割崩し」によって役力士とも顔を合わせた。しかし、大栄翔、照ノ富士には力及ばず、謹慎期間中のブランクの影響を指摘する声も上がった。

 「連敗はしたくなかったし、楽しかった場所が暗くなっていた。でもいつまでも引きずっても仕方ない」。切り替えに努め、臨んだ14日目は力強い相撲で立ち直った。まだ課題はあるが、上位陣とも十分に渡り合える手応えも感じた。

 朝乃山は関脇4人、小結3人について「この2年で顔触れも変わった。負けたくない」と闘志を燃やす。来場所の番付次第では、早くも三役全員との対戦がかなう可能性もある。朝乃山は「来場所も自分の相撲を取りきれるかが勝負になる。場所ごとに勝負していかないといけない」と気を引き締める。

 「今思えば早かったですね」としみじみ語る今場所も残すはあと1日。幕内復帰の場所を白星で締めくくれるか、千秋楽に持てる力を全てぶつける。

 ■一問一答 

 ―取組を振り返って。

 左は取れた感じがあったけど、切られた。止まったらしぶとい正代関なので、勢いでいきたかった。

 ―ともに大関だった。

 過去のことです。何も考えず、きょうの一番に思い切っていきました。

 ―横綱戦から切り替えられたか。

 昨日の横綱戦は思い切ってやった結果。負けたのは仕方ない。切り替えないと、引きずってはいられない。すぐに切り替えられた。

 ―連敗を止めた。

 連敗だけはしたくなかった。勝ちたかった。

 ―三役戦の手応えは。

 うーん。今場所は三役2人目なので。全員と当たりたい。今のままの自分の力じゃ勝てない。関脇4人、小結3人。休場してますけど若隆景関とか、この2年で顔触れも変わってますから。

 ―千秋楽に向けて。

 頑張ります。

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