朝乃山連敗止め11勝 復帰後初、三役撃破

  ●元大関対決制す

 大相撲夏場所(両国国技館)14日目の27日、東前頭14枚目の朝乃山(富山市呉羽町出身、富山商高OB、高砂部屋)は東小結正代(時津風部屋)を寄り倒し、11勝目を挙げた。幕内に復帰してから初めて三役を撃破し「何も考えず、きょうの一番に思い切っていった」と笑みを漏らした。幕内優勝は横綱照ノ富士が果たし、貫禄を示す結果となったが、朝乃山は関脇霧馬山と並んで次点につけ、千秋楽の土俵に挑む。

 同じ時期にともに大関の地位にいた正代との一番。朝乃山が攻めの相撲を貫き、連敗を止めた。

 立ち合いで引いた左上手は切れてもろ差しを許したが、構わずに前進。土俵際で正代の左すくい投げに崩れながらも、体を預けて寄り倒し。最後は自身の左腕をたたむ執念も光った。

 取組後、朝乃山は「立ち合いはうまくいった。土俵際で巻き替えられたけど、体を預けるように寄り倒せて良かった」と手応えを示した。

 朝乃山の取組終了時点では、優勝の可能性も残ってはいたが、結びの一番で照ノ富士が霧馬山を下し、千秋楽を待たずに横綱の優勝が決まった。朝乃山は賜杯を逃し、来場所以降に持ち越しとなった。

 ただ、11勝を挙げるのは、大関だった2021年春場所以来、2年2カ月ぶり。来場所で幕内上位に浮上するためにもあと1勝が重要になる。

 千秋楽の28日は西前頭15枚目の剣翔(追手風部屋)と初顔合わせとなる。194キロの重量級で、朝乃山と同じ右の相四つ。今場所は9勝を挙げ、役力士とも対戦するなど好調だ。

 千秋楽で12勝を挙げれば、三賞の有力候補ともなるだけに、大事な一番となる。朝乃山は「負けたくない。頑張ります」と力を込め、最後の一番に臨む。

© 株式会社北國新聞社