休場明け阿武咲、14日目で勝ち越し「どうなるかと思ったが一つの目標に乗った」

 大相撲夏場所14日目(27日・両国国技館)前頭9枚目の阿武咲(青森県中泊町出身)が鋭い出足からのいなしで巨漢の大翔鵬を一蹴した。休場明けとなった今場所、14日目での勝ち越しに「本当にどうなるかと思ったが、一つの目標に乗った」とほっとした表情を見せた。

 かち上げてきた相手の動きによく反応した阿武咲は、体をうまく開いて土俵に手をつかせた。取組後「(相手の)力を逃がすことができた」と満足そうに振り返った。

 春場所は両膝の故障で途中休場。本格的な稽古再開から2週間足らずでの場所入りだっただけに調整不足も心配された。本人は場所中も膝のケアに努め「大丈夫です」と不安を打ち消す一方、「本場所の緊張感が相撲勘を戻してくれる」と模索しながら土俵に上がった。

 爆発的な出足から相手を一気に土俵外へ運ぶ相撲はまだ少ないが、終盤に入り「我慢もしっかりできるようになった」「土俵の感覚が良くなり、日に日に地に足がついていく」と語り、自分本来の相撲を取り戻しつつあることに自信を深めた。

 残り一番「しっかり集中したい」と語る表情は、いつも通り引き締まっていた。

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