ダイハツ 新型ムーヴキャンバスは受注を始めた新型ムーヴよりお買い得?

ダイハツ 新型ムーヴが価格を明らかにして予約受注を始めました。そこで気になるのが2022年7月に登場したダイハツ 新型ムーヴキャンバスでしょう。新型ムーヴは、新型ムーヴキャンバスをベースに開発されており、機能も似ているため、比較検討する方も多いのではないでしょうか。そこで、この2台を比較しながら新型ムーヴキャンバスの内装や色、グレードの違いなどをカーライフ・ジャーナリストの渡辺 陽一郎さんが解説します。

ダイハツ ムーヴキャンバス ダイハツ ムーヴキャンバス試乗会(NA)

新型ムーヴキャンバスのおすすめポイント

・可愛らしいフロントマスクと丸みのあるボディスタイルが個性的

・水平基調のボディは視界が良く、最小回転半径も4.4mに収まる

・後席の下に収納設備を装着したことで買い物袋も置きやすい

新型ムーヴキャンバスのレビュー・評価

総合評価 4.0 ★★★★☆

5段階採点の解説

外観

新型ムーヴキャンバス ストライプス

ほかのどのクルマにも似ていないフロントマスクは個性的です。

少し傾かせたリヤゲートなどが特徴で、造形的なバランスも優れています。

内装

水平基調のインパネは上面を平らに仕上げられています。これにより、視界が良く、開放感もあります。豪華ではありませんが、ていねいに造り込まれています。

走行性能

全高が1700mm以下なので、走行安定性に不満はなく、車線変更なども行いやすいです。ノーマルエンジンは少しパワー不足です。

運転のしやすさ

前方視界は良いです。後方視界はボディ後端のピラー(柱)が少し太いですが、水平基調で見やすいです。小回りも利きます。

乗り心地

新型ムーヴはまだ試乗ができていないので、乗り心地などの走行に関わるポイントについては同じダイハツの軽自動車であり、人気のあるスーパーハイトワゴン(背の高い軽自動車)のダイハツ 新型タントと比較します。足まわりは 新型タントよりも柔らかく、乗り心地は快適です。タイヤが路上を細かく跳ねるような粗い動きも抑えられています。

価格の割安度

販売の主力になるGグレードの価格は167万2000円です。

ハイビーム時に対向車の眩惑を抑えるアダプティブドライビングビームなどを装着しながらも割安なグレードになっています。

総合評価の解説

今は幼いころからミニバンに親しんで育ったユーザーが多く、車の購入層のメインとなっています。軽自動車でも背の高いスライドドアを装着する車種が人気です。

そのため、軽自動車でも背の高いスライドドアを装着したスーパーハイトワゴンのダイハツ 新型タントやホンダ 新型N-BOXの販売が好調ですが、全高が1700mmを超えるボディは不要と考えるユーザーもいます。

そこで全高が100mmほど低く、外観が柔和な新型ムーヴキャンバスが開発されました。丸みのある外観は視覚的なバランスも良く、内装は開放的です。

価格は機能の割に安く抑えられ、好感度の高いクルマに仕上げられました。特にGグレードは、両側スライドドアの電動機能などを標準装着して買い得です。

2023年に登場する新型ムーヴとの違い

新型ムーヴは、この新型ムーヴキャンバスをベースに、外観を直線基調に改めた軽自動車と考えれば良いでしょう。スライドドアの開口幅が595mmになることも共通です。

そして新型ムーヴキャンバスGグレードの価格は167万2000円、新型ムーヴGグレードは163万3500円なので近い金額になります。

そうなると外観が個性的で、後席の下に収納設備などを備える新型ムーヴキャンバスが買い得でしょう。新型ムーヴキャンバスを購入するのであれば、既に受注を開始した新型ムーヴもチェックしておきたいです。

下記の記事では新型ムーヴについて詳細に解説していますので、こちらも合わせてお読みいただくとより比較しやすいでしょう。

良かった点

・後席の下の収納設備を引き出し、ついたてを立ち上げると内側に置いた買い物袋が倒れない工夫が凝らされている

・足まわりが柔軟に動いて街中でも乗り心地が快適。走行安定性も満足できる

・ターボの駆動力はノーマルエンジンの1.7倍で、燃費の悪化率はわずか

気になった点

・ノーマルエンジンは登坂路などでパワー不足を感じる

・後席の背もたれを前側に倒すと荷室は広がるが、床に段差ができる

・フタの付いた収納設備は多くない

新型ムーヴキャンバスの基本スペック・価格表

新型ムーヴキャンバスは、初代モデルが2016年に発売され、2022年に2代目の現行型へフルモデルチェンジされました。

新型ムーヴキャンバスは全高は1655mmですので、ダイハツのスーパーハイトワゴン(全高の高い人気のある軽自動車)である新型タントよりも100mm低いですが、後席側のドアはスライド式です。

ダイハツ 新型タント

新型ムーヴキャンバスのボディサイズ

新型ムーヴキャンバスの燃費

ストライプスとセオリーで燃費に違いはありません。

ノーマルエンジンのWLTCモード燃費は22.9km/L。

ターボにはギヤ駆動を併用するD-CVTを採用したことで22.4km/Lと、パワフルなターボエンジンでありながらも燃費の悪化を抑えました。

新型ムーヴキャンバスの発売日と納期の目安

新型ムーヴキャンバスは2022年7月に発売されました。初代は2016年に登場しており、6年ぶりのフルモデルチェンジとなりました。

納期と今後のモデルチェンジ予想

販売店によると「ストライプスは納期が長めで半年弱ですが、セオリーなら約2か月」とのことです。またアイドリングストップを装着しない仕様であれば、納期が縮まります。価格も3万3000円安くなります。

なお新型ムーヴキャンバスは2022年に発売されたので、当分の間、フルモデルチェンジは行いません。特別仕様車の追加などは考えられます。

新型ムーヴキャンバスのリセールバリュー

リセールバリューの5段階採点:4点

新型ムーヴキャンバスは前述の通り人気が高く、発売が2022年ですので、中古車市場の流通台数も多くありません。

したがって比較的好条件で売却できるでしょう。

新型ムーヴキャンバスのおすすめグレード

新型ムーヴキャンバス ストライプス

おすすめグレード:ストライプスG(167万2000円/2WD)

新型ムーヴキャンバスはボディを2トーンに塗り分けたストライプスと、モノトーンで装飾を増やしたセオリーが同じ価格で用意されています。落ち着いたセオリーも魅力ですが、一般的な選択肢はストライプスです。

おすすめグレードは安全装備を充実させ、右側のスライドドアにも電動機能が加わるGグレードです。試乗してパワー不足を感じたらGターボグレードも検討しましょう。

Gターボグレードの価格は179万3000円で、Gグレードよりも12万1000円高いですが、Gグレードにオプション設定される運転支援機能(4万4000円)が標準装着されているため、ターボグレードの正味価格はD-CVTの採用も含めて7万7000円と割安です。

燃費の悪化率も小さいため、Gターボグレードも積極的に検討しましょう。またオプションの安全装備も多彩なので、必要に応じて装着しましょう。

新型ムーヴキャンバスのライバル比較

新型ムーヴは後部のスライドドア機能を追加したことで、ボディサイズなど新型ムーヴキャンバスと似ている部分が多いです。

ただし新型ムーヴキャンバスは、後席の下側に収納設備が備わっていますが、新型ムーヴの後席は買い物袋をおさめるような機能はありません。その代わり、コンパクトにたたむことができます。

付加価値を求めるユーザーには、新型ムーヴキャンバスが買い得でしょう。

また新型ムーヴキャンバスのライバル車であるスズキ 新型ワゴンRスマイルも、全高が1700mm以下のボディにスライドドアが装着されています。新型ワゴンRスマイルはヘッドランプは丸型で可愛らしいデザインですが、新型ムーヴキャンバスに比べると、デザインの個性は弱いです。

スズキ 新型ワゴンRスマイル

後席の格納方法も新型ワゴンRスマイルのベースであるスズキ 新型ワゴンRなどと同じく一般的な方式です。

そこを考えると、新型ワゴンRスマイルは、新型ムーヴキャンバスよりも新型ムーヴのライバル車といえそうです。

新型ムーヴキャンバスのカラーバリエーション

新型ムーヴキャンバス ストライプスのボディカラー

新型ムーヴキャンバス ストライプス

新型ムーヴキャンバス セオリーのボディカラー

新型ムーヴキャンバス セオリー

新型ムーヴキャンバスを販売店で試乗するときのポイント

新型ムーヴキャンバスを試乗する時は、ターボとNA(自然吸気)エンジンの2種類があり、また2WDと4WDが設定されているので動力性能を確認しておきましょう。

送迎や買い物などの街乗りでの使用がメインであれば、NAエンジンでも十分だと感じられるでしょう。実際の試乗では登り坂を走った際にもしパワー不足を感じたら、Gターボグレードがおすすめです。合わせてエンジンノイズや乗り心地もチェックしておくと良いです。

荷室の使い勝手も確認しておくと、使用イメージが想像しやすいと思います。後席の下に装着された収納設備を引き出して、ついたてを立ち上げ、バスケット状にして荷物の置きやすさもチェックしてみましょう。

日常での使い勝手を確かめるには縦列駐車などを行って、優れた視界や運転のしやすさを見ておくと安心です。

【筆者:渡辺 陽一郎 カメラマン:森山 良雄/雪岡 直樹/MOTA編集部】

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