世界最大級のワイン品評会、純米酒3銘柄が入賞 兵庫・加西の酒蔵「富久錦」、「北播磨産の山田錦だからこそ認められた」

世界的なワイン品評会で入賞した(左から)「祝泡」「特別純米 山田錦」「純青」。奥は稲岡敬之社長=加西市三口町、富久錦

 兵庫県加西産の酒米・山田錦を使い、加西市三口町の酒蔵「富久錦」が醸造した純米酒3銘柄が、世界最大級のワイン品評会「インターナショナル・ワイン・チャレンジ(IWC)2023」で入賞した。同社の稲岡敬之社長(51)は「酒米に雑味があると品評会で好成績を残せない。北播磨産のコメだからこそ、世界で認められる酒ができた」と、農家の功績をたたえた。(敏蔭潤子)

 IWCは1984年に始まり、2007年に「SAKE部門」が創設された。同部門には「純米酒」「純米吟醸酒」など9カテゴリーがあり、14カ国63人が審査した。

 今回、富久錦は3銘柄を出品。「祝泡(しゅわ) 純米スパークリング」が、87銘柄が出品されたスパークリングの部で上位3銘柄の「トロフィー」に選ばれた。また283銘柄で競った純米酒の部では「特別純米 山田錦」が上位12銘柄に与えられる金メダル。「純青 山田錦 生酛特別純米」も銅メダルと、全銘柄が入賞した。

 富久錦は1839年創業。1992年から、加西産の山田錦などを使った純米酒のみを製造する。自然の乳酸菌を利用した昔ながらの生酛造りに力を入れ、深く複雑なうまみの酒を醸し出す。

 祝泡は、生酛造りの特性を生かし、熟成によるうまみときめ細やかな泡立ちが特長。特別純米・山田錦はすっきり軽快で飲みやすく、純青は山田錦のうまみが凝縮されている。

 稲岡社長は「北播磨の土の質、水の良さ、気候だからこそ上質の山田錦が栽培できる」と、素材の良さを強調。「地元農家も受賞に沸き立っている。北播磨産山田錦の評価がさらに高まれば」と、地域活性化に期待を寄せる。

 価格は祝泡が4500円(720ミリリットル、税別)、特別純米・山田錦は1400円(同)、純青は1600円(同)。同社直営店「ふく蔵」TEL0790.48.2005

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