【F1モナコGP予選の要点】3番手から一転、ペナルティで6番手に。ルクレールは母国で逆境を跳ね返せるか

 シャルル・ルクレール(フェラーリ)は地元モナコで、まだ一度も勝てていない。この2年、連続してポールポジションを獲得して最速ドライバーであることを証明しながらも、一昨年は決勝レースを1周も走れず、去年はピット戦略の大混乱で4位に終わっている。

 そして今年のモナコの予選は、マックス・フェルスタッペン(レッドブル)、フェルナンド・アロンソ(アストンマーティン)に及ばず3番手。それでも本人は直前のフリー走行まではマシンバランスに不満を訴えていただけに、2列目グリッド獲得には満足げだった。

 去年のモナコで3番手スタートのセルジオ・ペレス(レッドブル)が優勝した例を引いて、「あなたも同じグリッド。明日は勝てるのでは?」とインタビュアーに問われた際も、「モナコでは何が起きても不思議ではないからね」と、笑顔で答えていた。

2023年F1第7戦モナコGP予選 マックス・フェルスタッペン(レッドブル)&シャルル・ルクレール(フェラーリ)

 しかし予選終了後、ルクレールはアタック中だったランド・ノリス(マクラーレン)の走行を妨害したとして、3グリッド降格ペナルティを科されてしまう。ノリスの車載カメラを見ると、トンネル内でフェラーリに詰まって急減速を強いられている。ルクレールの妨害は明らかだった。

 ただしスチュワードは「トンネル内の視界の悪さから、後方車両の接近に気づくのが遅れたのは無理もない。走行ラインを変更して譲ることも、トンネル内では不可能だった」、「マーシャルの青旗提示には適切に反応したものの、時すでに遅しだった」と、ルクレール本人は責めていない。

 一方でチームに対しては、「無線交信を確認したところ、チームはルクレールにノリスが真後ろにつくまで何の警告も与えていない。直前までのやり取りは競合するドライバーに関するもので、モナコでは最も重要と言えるトラフィックに関するものではなかった」、「トンネルに入るまでに、チーム側がやるべきことはあったはず」と、責任を指摘。その表現は、糾弾と言っていいほど厳しいものだった。そして「ドライバー本人には責任はないが、3グリッド降格を科すことを決めた」としている。

 これでルクレールは6番グリッドからの決勝スタートとなり、よほど波乱の展開にでもならない限り、モナコ初優勝の希望はいっそう遠のいてしまったことになる。ちなみに一昨年に1周もレースを走れなかったトラブルも、チームがギヤボックスの不具合をスタート直前まで見落としていたことが原因だった。

 そして去年は戦略ミス、今年はチームの不適切な無線対応でのグリッド降格と、地元モナコでのルクレールは3年連続して不運に見舞われたことになる。この逆境を、はたして跳ね返すことができるのか。決勝レースも穏やかな好天が続きそうで、神頼みは期待できなさそうなのだが。

2023年F1第7戦モナコGP シャルル・ルクレール(フェラーリ)

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