G7広島 伝統工芸の魅力も世界に 漆芸家金城さん 土産のグラス制作

G7広島サミットで岸田首相から各国首脳に贈られた「蒔絵グラス」のゴブレット(金城一国斎さん提供)

 「伝統工芸は日本の文化を象徴するもの。その魅力を世界に発信するいい機会になった」と語るのは、日本工芸会中国支部幹事長で漆芸家の金城一国斎さん(58)=広島市中区。同市で19~21日に開かれた先進7カ国首脳会議(G7広島サミット)で、岸田文雄首相が各国のトップに贈った土産物の一つ「蒔絵(まきえ)グラス」を制作した。

 持ち手から台座にかけて朱や緑に色づくペアグラス。焼き付けた色漆の上に繊細な蒔絵を施し、広島を代表するモチーフであるモミジや悠々と泳ぐニシキゴイを生き生きと描き出した。「台座にすっと走る一筋の線で表したのは時の流れ。今につながる日本の歴史や文化を感じてもらいたい」

 好みや生活様式に応じて選べるようワイングラスとゴブレットを用意し、呉市発祥のセーラー万年筆の万年筆とセットで渡された。同じ支部会員の漆芸家高山尚也さん(42)=同区=も、岸田首相の妻裕子さんからの依頼で各首脳の配偶者に贈る漆器を手がけた。

 ゴブレットは天満屋岡山店(岡山市北区表町)で29日まで開かれている「第66回日本伝統工芸中国展」会場で公開中。同展では2人の出品作も楽しめる。

金城一国斎さん

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