自己最多タイ12勝 朝乃山、幕内「2位」

 大相撲夏場所(両国国技館)千秋楽の28日、東前頭14枚目の朝乃山(富山市呉羽町出身、富山商高OB、高砂部屋)は西前頭15枚目の剣翔(追手風部屋)を寄り切り、12勝目を挙げた。幕内復帰の場所で自己最多タイの白星を並べ、横綱照ノ富士に次ぐ成績を収めた。朝乃山は富山からのエールが力になっているとし「これからも応援してもらえるよう、精進していく」と来場所を見据えた。

 落ち着いた表情で今場所最後の土俵に上がった朝乃山は冷静な相撲で締めくくった。

 重量級の剣翔に立ち合いで踏み込むと、右を差して左上手を引く。前に出たところで上手が切れると、膠着状態になったが、右かいなを返し、相手が動いたところで再び左上手を引くと万全になり、ぐいぐいと寄り切った。軍配が上がると、会場からは温かい拍手と声援が送られた。

 12勝は大関だった2020年7月場所以来、2年10カ月ぶり。取組前まで星が並んでいた霧馬山が敗れ、朝乃山が次点となった。来場所は前頭4枚目まで番付が一気に上がる見通し。役力士との対戦も組まれる位置につける。

 会場では富山からの応援団も大きな力になった。声援を送った東京朝乃山後援会の東豊昭幹事長は「12番勝って万々歳。よくやってくれた」とねぎらった。

 朝乃山は不祥事を起こした21年夏場所からの2年間を経て、ようやく戻ってきた幕内の土俵で存在感を存分に発揮した。取組後、朝乃山は改めて「富山の皆さんが入門から応援してくれ、十両、幕内に上がるにつれ、応援も大きくなった」と感謝の思いを口にした。

 会場で掲げられる応援タオルを目にして力をもらっているとし「目の前でいい相撲、勝つ姿を見せることができて良かった」と表情をほころばせた。その応援タオルも千秋楽を待たずに完売。そのことを知った朝乃山は「うれしいですね。(買えなかった人は)前半戦で見に来るのをおすすめします」と冗談めかし、国技館を後にした。

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