<社説>キングス初優勝 県民とつかんだ頂点だ

 県民が待ち望んだ悲願の初優勝だ。 プロバスケットボールBリーグの年間王者を決めるチャンピオンシップ(CS)ファイナル(決勝)が神奈川県の横浜アリーナで行われ、琉球ゴールデンキングス(西地区1位)が、千葉ジェッツ(東地区1位)に2連勝し、Bリーグ初優勝を果たした。西地区のチームが優勝するのも初めてだ。激闘を勝ち抜いた選手たちを心から祝福したい。

 キングスの実力は折り紙付きだ。Bリーグの前身であるbjリーグでは4度の優勝を飾り、Bリーグでは6シーズン連続で地区優勝を果たしている。

 Bリーグ創設以降、新型コロナ禍で中止となった2019年―20年を除き、キングスは毎シーズンCSに出場しているものの、頂点には届かなかった。昨シーズンは決勝まで駒を進めたが、宇都宮ブレックスに敗れた。

 今シーズンのキングスは、岸本隆一選手や今村佳太選手らが攻撃の流れをつくり、ジャック・クーリー選手やアレン・ダーラム選手らインサイド陣が強みを発揮、混戦の西地区を1位の成績で終えた。

 CSファイナルで対戦した千葉ジェッツは、3月の天皇杯決勝でキングスを破った強豪だ。ファイナル第1戦は、史上初の再延長戦までもつれ込み、キングスに軍配が上がった。第2戦は、キングスが序盤からリードを奪う展開。千葉の猛攻に一時逆転を許したものの、気迫に勝るキングスが勝利を収めた。

 試合後、桶谷大ヘッドコーチが「年間を通して戦うというチームの形を出せた」と語ったように、今季はシーズンを通して高い総合力を作り上げたと言えるだろう。ファイナルでは第1、第2戦ともベンチメンバーも活躍し、層の厚さも光った。

 Bリーグ初優勝にはファンの力も大きい。07年のbjリーグ参戦時から、常に県内のファンとともに成長してきた。今季のレギュラーシーズン平均入場者数は6823人と、リーグで最多となった。ホームコートの沖縄アリーナでは連日、ファンの声援が選手たちを支えている。

 キングスの選手たちも県内各地でバスケ教室を開催するなど、地域に根差した活動を進めている。チームの活躍が沖縄のさらなる発展につながることを期待したい。

 キングスのリーグ初優勝は、県内の子どもたちにも大きな夢を与えたと言えるだろう。今年8月には、沖縄アリーナで「FIBAバスケットボールワールドカップ2023」の日本ラウンドが開催される。世界トップレベルの選手たちが沖縄に集う。

 キングスの優勝と合わせ、沖縄のバスケットボールを発展させるまたとない機会だ。子どもたちが夢を持ち、沖縄から国内、世界で活躍するプレーヤーが輩出できるよう、行政や地域を挙げて取り組んでもらいたい。

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