<地域発 未来へ>群馬・JA邑楽館林 担い手確保へ農家に研修生

秋山さん(奥)の指導で葉かきをする研修生の小宮さん(群馬県明和町で)

施設キュウリ 2年間で技術直伝

群馬県のJA邑楽館林は行政や農家と連携し、主力作物である施設キュウリの担い手確保に奮闘している。「邑楽館林施設園芸等担い手受入協議会」を組織して農家に研修生を2年間受け入れ、2021年度以降、4人の新規就農者が誕生した。23年度も研修生1人を受け入れている。

同JAは全国屈指の施設キュウリの産地だ。約500人が栽培し、約100億円あるJAの野菜販売額の6割を占める。大産地のため、地域には蓄積された栽培技術や安定した販路がある一方、高齢化や後継者不足で、生産者はこの10年で約100人減少した。

協議会はJAが事務局を務め、野菜出荷組合連絡協議会(研修受け入れ農家)と市町・農業委員会、県で組織する。県内外の就農フェアや農業求人サイトなどを通じて新規就農の希望者を募集。毎年10月に現地説明会を開き、1日農業体験や面接を経て研修に入る。

明和町の秋山晃司さん(39)のハウスでは4月から、小宮瑠衣斗さん(27)が研修を始めた。近隣の大泉町出身。実家は農家ではないが大学で農業を学び、農業法人での勤務経験もある。独立就農を目指し、キュウリ産地の門をたたいた。

研修では収穫や箱詰め、葉かきなどを一から学ぶ。温度・湿度、水やりなどの管理、経営と習得すべきことは多いが、小宮さんは「先輩農家に鍛えられながら独り立ちを目指したい」と前向きだ。

秋山さんも「産地を活性化させるためにフルオープンで技術を教えている。農家に必要な作物の観察力を会得し、担い手に育ってほしい」と期待する。

研修先の農家は、現場をよく知るJAが、研修生の要望を聞いてあっせん。就農時には空きハウスなどの確保も支援する。行政も役割分担して営農計画の作成や、国の農業次世代人材投資資金など、補助金申請をサポートする。

事務局を務めるJA園芸企画課の若柳雅大さんは「県外からの研修生も増えている。今後は協議会の活動を多方面に周知し、新たな担い手の確保につなげたい」と意気込む。

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