奈良県民熱愛のお中元にもらって嬉しい「おかき」はいかが?【高山製菓】

 茶筌の里で有名な生駒市高山町にある「高山製菓」。この社名を聞くと奈良県民なら、国産モチ米を焼いたおかき「ころもち」をすぐに思い浮かべると思います。1950年の創業から、多くのファンがリピーターとして定着。「おかきが入っている柿色のカンカンは、奈良県民ならどの家庭にもひとつは必ずある」ともいわれています。

高山製菓のおかきを入手する方法は、工場直売か自社ホームページのネット販売のみ。その独自の販売の仕方にもファンを惹き付ける秘密がありそうです。これからお中元の季節。食べ始めたら止まらない軽い口当たりの奈良県産「おかき」はいかがでしょうか?伝統の味を守り抜く3代目社長の齋二隼(サイニジュン)さんにお話しを伺ってきました。

大阪との県境に位置する生駒市高山町にある高山製菓の製造・販売所
3代目代表取締役の齋二隼さん

―――お爺さまが創業者と伺いましたが、どのようにスタートされたのでしょうか?

戦後間もない昭和25年、製菓の経験が全くなかった祖父の齋二勇治が独学でおかきを製造し、自転車で量り売りの行商をしたのが始まりです。舗装されていないガタガタ道を枚方市まで営業に回ったという話を子供の頃から聞かされていました。飛躍の契機となったのは、製造不可能と思われていた分厚いおかきを、秘伝の製法を編み出して作ったことです。また卸業者を通さず、工場直売にしてリーズナブルな価格で販売したことで売上を伸ばしていきました。おかげさまで贈答用として購入される機会が多いブランド製菓にまで成長することができました。

創業者である祖父の背中を見て育ったのだそうです

―――跡を継ごうと決心したのはいつ頃だったのでしょうか?

大学時代の春休みにアルバイトをさせてもらった時です。実際に工場で働いてみて、おかき作りがおもしろいなと思って決心しました。大学を出てすぐ工程順に各部署を1年ずつ回り、5年ほどかけて学ばせてもらいました。もちろんおかきを自分で焼いたりもしましたよ。40年やっている職人さんでさえ、まだまだ難しいといっているくらいですから奥が深いですよね。

社長室には、創業者の祖父(右)と二代目の父(左)の写真が

―――経営について手取り足取り指導してもらったのでしょうか?

全然!(笑)祖父も父も見て覚えろというタイプでした。祖父には一度質問して怒られましたからね、自分で考えろと!(笑)職人ってそんな感じなんですかね?ただ、祖父は「おいしいものを誠実に作っていたら、お客さまは絶対についてきてくれるから期待を裏切るような商品作りはするな。」とよく言っていました。今思えば遠回しに跡を継いで欲しい思いを伝えていたのかもしれません。

―――子どもの頃からお爺さまに憧れがあったんですか?

そうですね。昔の話を聞いているとやっぱり自分ではできないことばっかりだったんでね。独学で試行錯誤しながら今のおかきに辿り着いたんですから、すごいなと思いますね。3年前に祖父、2年前に父が亡くなりました。祖父は91歳でしたが腕や足は筋肉がついてたくましかったですよ。昔の人は強いですよね。

お爺さまと同じポーズで工場に立つ三代目

―――三代目となられて3年目とのことですが、今後どのような会社にしていきたいとお考えですか?

今は会社を大きくしようとかの思いではなく、今作らせてもらっているものを常にベストな状態で出せるように日々努力しているところです。先々代から先代、そして私へとバトンを受けさせてもらったのですが、受け継いだものを変えるつもりは全くなく、これまで培ったものをしっかり守りながらお客さまに提供していこうと思っています。

―――頑なに先代の方針を守っておられるのはなぜですか?

やっぱり会社理念である、「お客さまに安価でおいしいものを食べていただく。」ためには今まで通りのやり方で品質を保ちながら製造し、販売方法も工場直売を貫くべきだと考えているからです。百貨店の方が営業に来られたりもしていたのですが、手を広げることで、商品管理も大変になり品質低下に繋がりかねません。営業を断るうちに百貨店の方もここは説得しても無理だと諦めたようで、ついに来なくなりましたね。(笑)あられの品質を常に同じ味に保つのは本当に難しいことなんですよ。

―――社会情勢や気候の変動とともに、原材料となるモチ米の仕入れなども大きく関わってきますよね。

祖父が日本全国を探し回って行き着いた、佐賀県産の「ヒヨクモチ」という粘りの強いモチ米をずっと使っています。農家の方が品質維持に努力してくださっているので、ありがたいですね。あられの製造は、餅を搗くところから、切断して、焼くという工程になりますが、焼き加減にしろ味加減にしろ、職人の技量と経験がものをいいます。生産に関わるすべての方たちが日々研鑚を怠らず、ヒヨクモチ絶対の自信で作っていることが誇りです。

―――3月から少し値上がりしたと聞きましたが、どのような大変さがありますか?

実は仕入れ商品、資材、光熱費、運送費など3年前から値上がりし続けています。今後も上がる可能性があり、いつ終わるか先が見えない状況です。これまで値上げしないでなんとか頑張ってきたのですが、やむなく値上げさせていただきました。

―――コロナの影響はありましたか?

おうち時間が増えたことで、贈答として買ってくださる方が増えたので有難かったです。賞味期限が3カ月あるため、贈り物に向いていたのも良かったようです。贈られた方が、おいしかったからと注文してくださったりして、日本全国にどんどん広がっていきました。これからの季節は、お中元にお買い求めになられる方が多く、販売所が行列になることもあります。

直売所の入口には、混雑を防ぐため左側通行の看板が出ています

―――どのような味のおかきがあるのでしょうか?

メインは、サラダ味のおかきです。うちのおかきは油で揚げずに焼いて、独自のタレにつけて味付けしています。一番人気はサラダ味の「ころもち」で、マヨネーズおかきと海老サラダが二番を争っていますね。

―――お中元におすすめの商品を教えてください。

いろいろな味が楽しめる7種類のおかきが詰まった「味くらべ」がおすすめです。醤油風味、海苔風味など、高山製菓の人気のおかきを一通り味わっていただけます。工場直結の販売所では作りたてを購入いただけます。熨斗を付けて、贈答先へ配送も承っております。

「味くらべ」(750g)2376円。翁、蓬莱、老松、浦島、田舎焼、豆かき、海老サラダの7種類の詰め合わせ
直売所の受付。希望の熨斗を付けてくれます。
壁の商品番号を受付に伝えると商品を奥から出してくれます

―――どういう時に仕事の喜びを感じますか?

お客さまから、高山製菓のおかきは日本一おいしいと言われることがあります。やはり、消費者さまの喜びの声を聞く時が一番、仕事をしてきてよかったと感じますね。

―――おかきへの熱い思いをお話いただき、どうもありがとうございました。

■店  名 高山製菓株式会社

■住  所 生駒市高山町6785

      近鉄けいはんな線学研北生駒駅から「傍示」行きバス乗車、

      高山学校前バス停下車徒歩3分

      駐車場あり(28台)

■電話番号 0743-78-0552/0120-6666-11

■営業時間 8:00~17:00

■定 休 日  日曜・祝日

※予約不要

※現金払いのみ

http://www.takayamaseika.co.jp/ (HP) 

※この記事は取材当時の情報です。

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