つないで14点、鶴岡東V 春季高校野球県大会

〈鶴岡東-日大山形〉2回表鶴東1死一、二塁、8番森神晴樹が中越え適時二塁打を放ち先制する=米沢市営野球場

 第70回春季東北地区高校野球県大会は最終日の28日、米沢市営野球場で決勝と3位決定戦を行った。決勝は鶴岡東が14―5で日大山形に快勝し、4年ぶり6度目の優勝を果たした。3位決定戦は東海大山形が11―1で羽黒に六回コールド勝ちした。

 鶴東は二回に8番森神晴樹の中越え適時二塁打などで2点を先制。同点の五回に7番億田知輝と森神の連続適時打などで5点を追加して主導権を握った。2点リードで迎えた九回にも打者一巡の猛攻で7点を奪って突き放した。

 3位決定戦の東海大は2点リードの六回に6安打を集めて大量8点を加え、直後の守りで反撃を許さなかった。

 東北大会は岩手県を会場に6月7~11日の日程で開かれる。本県からは鶴東と日大が出場する。

【大会振り返って】上位に「計算できる」投手

 今大会は打撃戦やコールドゲームが目立ち、打力の高さを示すチームが多かった。一方で、制球の不安定さや不用意な守備で傷口を広げるケースなど、試合運びのまずさも目につく。チームづくりは道半ばの印象だ。その中でも、優勝した鶴岡東を中心とする上位校は「計算できる」投手が軸になった。

 鶴東は総合力の高さが抜きん出ていた。打線は好機に畳み掛ける各打者の集中力が光った。小技や足を絡めた手堅さも、さすがといった印象。投手陣は左腕桜井椿稀が抜群の安定感を示し、エースナンバーを背負う佐藤一汰も要所を締めるなど、投手層に厚みがあった。東北の強豪とどれだけ渡り合えるか楽しみだ。

 準優勝の日大山形は決勝こそ大敗したが、大会を通じて投打に安定感があった。特に主戦菅井颯の投球は圧巻だった。計16回を投げて防御率0.56。直球に力があり、変化球にも切れがあった。スタメンは2年生が多いが4番遠藤海星を中心に勝負強い。決勝で見えた課題を、東北の舞台では修正してほしい。

 3位の東海大山形は4番物部豪ら中軸に当たりが戻った打線に迫力があり、羽黒は山田舞侑の好救援が4強入りの原動力となった。一方、昨秋の県王者山形中央は8強止まり。注目左腕の武田陸玖が一度もマウンドに立つことなく敗退したのは残念だった。

 今大会は、競り合いながらも終盤で集中力を欠くプレーが相次ぎ、大差がつく試合もあった。個々の奮起を促したい。春季大会は夏に向けて課題を洗い出す場でもある。貴重な公式戦で垣間見えた課題に向き合い、より成長した姿を夏の舞台で見せてほしい。

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