自転車、慣れに潜む危険 県内の中高生、6月の事故が年間最多

自転車通学の高校生にヘルメット着用や交通ルール順守を呼びかける山形署員=4月、山形市

 通学や部活動などで、中学生や高校生が自転車で広範囲を移動する中、県内では6月に中高生の自転車事故が最も多く発生している。県警の統計では、いずれも1年生が最多で、入学後、新たなルートなどを通り、少し慣れてくる、この時期に事故のリスクが高まるとみられる。事故のうち約9割が自転車側の一時不停止などが原因で、県警は交通ルールの順守を求めている。

 「全体の4割近くが中高生だ」と県警交通企画課の担当者は指摘する。同課によると、県内で2018~22年の過去5年間の自転車事故による死傷者は1825人。このうち最多は高校生の496人で、中学生の165人と合わせ全体の36.2%を占める。登下校中の発生が高校生で8割、中学生で6割に上る。

 学年別では中学、高校とも1年生が最も多い。「新入学を機に環境が変わり、自転車で行動範囲が広がることが事故の背景にあるとみられる。不慣れな道を通ったり、部活動などで帰りが遅くなったりして事故が起きやすくなる」と同課では分析している。

 これから梅雨となり、6月は天候が悪い日が続く。道路状況も、視界も悪くなる日が多いこの時期が月別で中高生の自転車事故が最も多くなる。事故による死傷者は高校生が78人、中学生は26人だ。天候や視界の不良だけでなく、同課は「徐々に運転に慣れが生じる時期。気の緩みが事故を招く」と危険性を指摘する。

 中高生の自転車事故の多くが自動車との衝突だ。一時停止せず交差点に進入するなどしてぶつかることが多く、自転車側の信号無視や一時不停止などが原因の約9割に上る。音楽などをワイヤレスイヤホンで聞きながら運転するケースも目立つ。クラクション音や車が近づくエンジン音に気付かず、事故を回避できない危険性もあるという。4月から自転車でのヘルメット着用が努力義務化されたが、高校生は着用率が低いのが現状だ。県警は懸念される6月を控え、「ヘルメットをかぶり、交通ルールーを守って自転車に乗ってほしい」と強調している。

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