「弁護士ソドム」福士蒼汰が俳優として大事にしているのは――「楽しくやる! 笑って過ごす! それと、役者としてうそをつかないことです」

福士蒼汰さん演じる型破りな詐欺師専門弁護士・小田切渉が、ある目的のために詐欺師の味方をし、裁判で勝たせていくさまを描くドラマ「弁護士ソドム」(テレビ東京系)。悪徳弁護士でありながら、実はその裏で詐欺師たちに立ち向かい反撃していく渉の姿はとても格好よく、見ていてスカッとする方も多いのではないでしょうか? 退廃や悪徳の象徴とされる“ソドム”と呼ばれ、過去の復讐(ふくしゅう)に燃える渉がたどり着く真実とは…。その展開から目が離せません。

今回は、そんな小田切渉を演じる福士蒼汰さんを直撃取材。ドラマの企画に関するお話から本作に込めた思い、お薦めのセリフの覚え方や(笑)、役者として大事にしている考え方などを明かしてくれました!

――本作は、福士さんがプロデューサーの方々と打ち合わせを重ねながら、細かい部分までこだわって一緒に作り上げているとお伺いしました。

「主にキャラクターについての打ち合わせを重ねました。本作では渉が主人公になるので、視聴者の方々が渉に感情移入できるように見せたいのと同時に、エンターテインメントとしての魅力も伝えていきたいと思っていて。人間を描くだけだとすごく地味になってしまうこともあるので、エンタメ性とのバランスを意識しています。ドラマ8のリニューアル1発目の作品ということなので、新しい風を吹かせられるようにアイデアを出し合っていきました」

――具体的にはどんなお話をされたのでしょうか?

「恋愛ものとかアクションものとかいろんなジャンルのお話が出ている中で、僕の方から『詐欺を題材にした話も面白くなるんじゃないか』という提案をさせていただいたんです。そしたら、元々あった弁護士という企画とあわせて、詐欺専門の弁護士にしようということになりまして。ほかにも、渉の家族としてのストーリーも入れたいなど、いろんな相談をさせてもらいました」

――詐欺というのは、福士さんから出たワードだったんですね。

「そうですね。ちょうどその時に見た、詐欺を題材にした映画やドラマが面白いと感じて。それに、アクション作品にもなるのではないかと思ったんです。例えば、パソコンからUSBを使ってデータを盗み出す場面で、まだ100%コピーし終えていない状態なのに敵が来ちゃう! みたいなハラハラドキドキもアクションだなと。だから、アクション要素を取り入れた詐欺ドラマをやりたいなと思ったのが本作の企画の最初でした」

――そのように企画を立ち上げられて、今回初めての弁護士役ということですが、セリフ回しなどはいかがでしょうか?

「専門用語に関しては、本作では実はそんなに多用していないんです。専門用語が多くなりすぎて、視聴者の方が見づらいのもよくないと思うので、エンターテインメントとして分かりやすく話の展開を進めていけるようなセリフを取り入れられているんじゃないかなと。かつ、法廷のシーンでは、人間味が感じられるようになっていると思います。例えば、裁判長を納得させるために渉がどう説明していくのか…とか、裁判は機械的なイメージを持たれている方もいるかもしれませんが、人と人との会話なので、人間味があふれていると思います」

――ちなみに、セリフはどのように覚えているんですか?

「長ゼリフに関しては、とにかく何度も読んで確認しながら覚えています。感情的な会話の場合は、相手をどうしたいかや、どう受け取ってほしいかによって間合いなども変わってくるので、その意味合いを感じ取って自分の中に落とし込みます。自然にそのセリフが出てくるという状況にまで持っていかないとだめだなと思うし、そうやると体が覚えてくれるんです」

――ここからはドラマの話から少し離れまして、福士さんが日々過ごす上で大切にされている座右の銘などありましたら教えていただければと思います。

「そうですね…“プロの時はアマチュアらしく、アマチュアの時はプロらしく”という、自分の中で大事にしている言葉がありまして。初心者の時は自信がないからこそ、うそでも自信があるように演じないと目も向けてもらえなかったりしますし、逆にプロフェッショナルになった後も、まだまだ学べることがあるという新人のような心でいた方がうまくいくと思っています」

――初心を忘れずにというか。

「分野にもよりますが、このジャンルではプロかもしれないけど別のジャンルではアマチュアだとか、自分の状態を考えながらああしようこうしようと動いていますね」

――すてきな座右の銘をありがとうございます! 俳優としてもお伺いできればと思いますが、現在20代最後の時期ということで、俳優という仕事についてどのように感じられていますか?

「今はすごく楽しいです。やっぱり、人生と同じように役者人生にも波があって。落ちている時に学ぶこともあれば、自分の気持ちが高まっている時に学ぶこともあるんですよね。だから、その時々で自分の素直な気持ちに気づいてあげたいなと。今はありがたいことに、とても楽しくお仕事をさせていただいているように思います。能動的に台本の内容や演技について考えられているので、いつか自分だけではなく、周りの人にいい影響を与えられればいいなと思います」

――落ちている時は、気持ちをどう切り替えているのでしょうか?

「いろいろお話させていただきましたが、最終的には生きているということが大事なんじゃないかと思うんです。気持ちが落ちていても、『今落ちているな』と思いながら生き続けていれば、絶対また波は上がってくるというのを僕自身も信じています。あとは、出会いも大切にしています。すてきな監督さんやプロデューサーさんと出会って、一緒にお仕事をさせていただくということが、自分の波をぐっと持ち上げてくれるきっかけになると思っています」

――それでは最後に、俳優として仕事をする時に大事にしていることを教えてください!

「一番は楽しむことです。楽しくやる! 笑って過ごす!というのが大事かな。それと、役者としてうそをつかないということです。やっぱり、演じる時にうそをついて演じるとそれが見えてしまうので。いかに真実の気持ちを伝えられているかということも大切にしています」

【プロフィール】

福士蒼汰(ふくし そうた)
1993年5月30日生まれ。東京都出身。ドラマ「大奥『3代・徳川家光×万里小路有功 編』」(NHK総合)、「神様のカルテ」(テレビ東京系)、「DIVER-特殊潜入班-」(フジテレビ系)、映画「カイジ ファイナルゲーム」「ザ・ファブル」「旅猫リポート」「BLEACH 死神代行篇」「ラプラスの魔女」「ちょっと今から仕事やめてくる」などの話題作に出演し、多方面で活躍している。また、「NoMAD Workout -FUKUトレin NY-」(U-NEXT)が現在配信中のほか、「THE HEAD Season2」(Hulu)が6月17日より配信予定。

【番組情報】

ドラマ8「弁護士ソドム」
テレビ東京系
金曜 午後8:00~8:54

取材・文/鬼木優華(テレビ東京担当) 撮影/蓮尾美智子

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