第92回「腰骨にくるぜ」

キーボードの、おおくぼけいがやっている音楽スタイルはいろいろあるが、なかでもマリアンヌ東雲とやっている「肋骨」というユニットは、そのなかでも異色中の異色な存在である。一度観てもらえればその変態ぶりを堪能できると思うのだが、そんな話をしていて、だったらオレたちは「鎖骨」というユニットで遊ぼうか? などと、サックスのこんぶちゃんと半分本気で笑い合っていた。 正直言うと自分の肋骨はホントにカッコ悪く、子どものころから気に入らないものだったのだ。胸の上部ではなく下の部分が飛び出し、ホントにいまでも嫌いだ。たぶん死ぬまで嫌いなんだろう。 だがそんな肋骨、いわゆるあばら骨のことだが、ある一瞬、おおっ、これでなきゃ! という瞬間があるのだ。それはストラトキャスターの裏側上部のくびれに、すすすすーっとそのあばらの下部がうまく滑り重なっていってくれる時だ。オンナの腰骨のようだと自分は指で擦りながら、この感触をこう理解するのはオレだけなんだろうけどなと失笑しながら、腰骨にくるぜ! と喜んでいるPくんなのであった。

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