柔らかに渦巻き輝く“くじら座”の銀河 ハッブル宇宙望遠鏡で撮影

こちらは「くじら座」の方向約8900万光年先の銀河「NGC 298」とその周辺です。欧州宇宙機関(ESA)によればNGC 298は渦巻銀河に分類されていますが、渦巻腕(渦状腕)はあまり目立っておらず、暖かな色合いで明るく輝く中心部を青い星々に彩られた円盤部が柔らかく取り囲んでいるような姿をしています。

【▲ ハッブル宇宙望遠鏡で撮影された渦巻銀河「NGC 298」(Credit: ESA/Hubble & NASA, C. Kilpatrick)】

NGC 298では1986年9月にII型超新星「SN 1986K」が見つかりました。超新星爆発は太陽の8倍以上の質量を持つ大質量星や、白色矮星を含む連星で起こるとされる激しい爆発現象です。II型超新星は大質量星が起こすタイプの超新星爆発で、進化した恒星内部の核融合反応で鉄のコア(核)が生成されるようになった頃、核融合のエネルギーで自重を支えることができなくなったコアが崩壊し、その反動によって恒星の外装が吹き飛ぶことで爆発に至ると考えられています。

冒頭の画像は「ハッブル」宇宙望遠鏡の「掃天観測用高性能カメラ(ACS)」で2022年10月に取得したデータをもとに作成されました。ESAによると、ハッブル宇宙望遠鏡によるNGC 298の観測はII型超新星の余波を調査する研究の一環として実施されており、超新星が起こった場所の周辺に存在する星々の年齢や質量といった情報を得ることで、II型超新星を起こすような星についての知見や、超新星爆発から生き延びた星が明らかになると期待されています。

冒頭の画像はハッブル宇宙望遠鏡の今週の一枚として、ESAから2023年5月29日付で公開されています。

Source

  • Image Credit: ESA/Hubble & NASA, C. Kilpatrick
  • ESA/Hubble \- Hubble explores explosive aftermath in NGC 298

文/sorae編集部

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