B29の大編隊で真っ黒の空、膝から下を失った男児…横浜大空襲、91歳女性が語った体験

多くの来場者が集まった会場=横浜市中区の横浜にぎわい座

 横浜大空襲から78年となった29日、当時の記憶を後世に残そうと、「5.29横浜大空襲祈念のつどい」が横浜市中区の横浜にぎわい座で行われた。3人の登壇者がそれぞれ体験談を語ったり、当時の手記を解説したりした。来場した約140人は聞き入り、平和への思いを新たにしていた。

 登壇した1人、同市瀬谷区の藤原律子さん(91)は5月29日の朝、着いたばかりの学校から空襲警報に追い立てられるようにして西区浅間町へ避難した際、空襲に遭った。

 登校時には真っ青だった空が数時間後には米軍の爆撃機B29の大編隊で真っ黒に覆われた恐ろしい記憶を、ゆっくりと振り返った。焼夷弾(しょういだん)が雨あられのごとく降り注ぎ、共に避難していた顔見知りの男児は、焼夷弾に焼かれ片足の膝から下を失ったという。当時は自分のことで精一杯だったと語る藤原さんだが、今でも「何かすれば助かったかもしれない」と度々後悔の念に駆られるという。

 「ただ座っていては平和は果たされない。皆が何か出来ることを次の世代に受け継いでいかなければならない」と来場者へ語りかけた。

 つどいは、「横浜の空襲を記録する会」の主催で1971年から毎年行われている。

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