部品解体、海外輸出か 高級SUV窃盗団

  ●金沢、白山で3台被害 背後に密売組織か

 石川など9府県で起きた高級スポーツタイプ多目的車(SUV)の窃盗事件で、大阪、茨城、滋賀の3府県警の合同捜査本部に逮捕されたグループが車の部品を解体し、海外に輸出していた疑いのあることが29日、捜査関係者への取材で分かった。金沢、白山両市の3台を含め64台が被害に遭ったとみられる。捜査本部は背後に大規模な密売組織が関与した可能性があるとして、石川県警と連携して全容解明を急ぐ。

  ●摘発の三重の男ら20人

 捜査本部が窃盗などの疑いで逮捕したのは、三重県鈴鹿市の51歳の男ら19人。別の1人も書類送検されており、2021年9月から22年8月までの間、高級SUVの窃盗や車上荒らしなど73件に関与したとして、捜査本部が裏付けを進めている。

 石川では昨年4月28日から翌29日にかけ、金沢、白山両市でトヨタのSUV「ランドクルーザー」各1台、金沢市でレクサスのSUV「LX」1台が被害に遭った。捜査本部は石川県警からも情報の提供を受け、他に関与した人物がいなかったかどうか調べている。

  ●ナンバー付け替え 警察の追跡逃れる

 男らは各地で盗んだ車にナンバープレートを付け替えて警察の追跡を逃れていたとみられる。捜査本部の調べでは、石川などで盗まれた車はいったん茨城県にある「ヤード」と呼ばれる解体場に運ばれ、フロントガラスやバンパーといった部品を外した上で、男らが海外に売りさばいていた可能性が大きいという。

 特殊な小型機器で車の制御システムに侵入する「CANインベーダー」という手口で高級車を解錠、エンジンをかけて乗り去っていた。合同捜査本部は金の流れについても解析を急いでおり、暴力団組織の関与についても調べる。

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