宇宙ビジネス支援拠点 茨城・つくばに新設 専任コーディネーターを増員

茨城県庁=水戸市笠原町

茨城県は宇宙ビジネスの活動拠点「いばらきスペースサポートセンター」を6月、同県つくば市に新設する。専任コーディネーターを増員して常時配置し、宇宙航空研究開発機構(JAXA)や企業間と連携したビジネス展開を推進。企業の宇宙産業への挑戦意欲を高め、新規参入や取引機会の拡大を図る。

サポートセンターは、県などが出資する同市千現のつくば研究支援センター内に6月1日、開所する。

JAXAやものづくり企業に勤務経験のある専任コーディネーターを1人増員して2人体制とする。宇宙産業とのつながりや専門知識を生かし、技術開発のノウハウやニーズについて助言する。必要に応じて開発商品の販路開拓も支援。JAXAや宇宙ベンチャーとは、開発した商品の活用提案や試作品発注の橋渡し役を担う。

コーディネーターは昨年度、拠点は置かずに企業を巡って相談や調査を行っていた。センター設置と人員増により、参入企業が相談しやすい体制を整える。

県は2018年に「いばらき宇宙ビジネス創造拠点プロジェクト」を発表。政府が30年代早期に市場規模を約2.4兆円に増やす目標を掲げ、民間企業の参入を促したのを受け、「裾野の広い成長産業」(県科学技術振興課)と期待される宇宙ベンチャーの創出・誘致と県内企業の新規参入を目指してきた。

技術開発への資金援助や製品の展示会といった支援で、小型衛星開発のワープスペース(つくば市)などが全国有数の企業に成長。22年度は県内22社が参入、起業・茨城県進出企業が計20社に上り、うち8社が売り上げ実績を上げた。このほか、高高度気球を活用した有人飛行や、宇宙食としてアンコウのあん肝の加工など、宇宙ビジネスに挑戦する企業が広がりを見せる。

宇宙産業は実績がないと参入は難しい。そのため、県はコーディネーターを介し、試験設備のあるJAXAと結び付けることで参入拡大を期待する。県内へのオフィス新設や移転に必要な賃料の半額を補助するなど、県外企業の茨城県進出も促す。

県科学技術振興課の小貫智也課長は「敷居が高い印象がある宇宙産業で、県内企業の挑戦や、県外企業を呼び込む起爆剤にしたい」と話した。

県は1日、開所イベントとして、JAXAや宇宙ビジネスの国内トップ企業の3人を招いた講演や意見交換をつくば研究支援センターで開く。

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