青森市長選、知事選と同日投開票で埋没懸念の声 投票率アップの期待も

街頭で政策を訴える青森市長選立候補者。どの候補の演説も足を止める聴衆は少なく、知事選の陰に隠れて盛り上がっていない-と嘆く陣営も

 28日告示された青森市長選の投開票は6月4日で、20年ぶりに県政トップが代わる知事選と同日となる。知事選より10日遅れで戦いがスタートした市長選。「県都」の新たなリーダーを決める選挙だが、陣営関係者には「知事選の陰に隠れて市長選が盛り上がらない」と、埋没を懸念する声が広がる。その半面、同日選の相乗効果で「投票率が高くなるのではないか」と期待する陣営もある。

 「市長選の期日前投票をするには、もう一度来なければいけないのですか」。市長選告示前の26日、同市のアウガに知事選の期日前投票に訪れた女性が職員に尋ねる姿があった。期日前投票は知事選が19日から、市長選は29日から始まった。29日以降でなければ、両選挙の期日前投票を同時に済ませることはできない。

 ある候補の陣営幹部は「知事選が盛り上がり、市長選があることを知らない人もいる。知事選の期日前投票を済ませた人が、市長選の投票にもう一回行ってくれるだろうか」と漏らす。別の陣営関係者は「市長選は候補者や政策をよく知らないまま投票したり、白票を投じたりする人も出てくるのではないか」と心配する。

 一方で「知事選の方が注目されているのは確かだが、市民にとっては市長選の方が身近。投票率が高くなると予想している」という陣営も。「知事選への埋没を心配したけれど、いろいろな経歴の候補が出てきたことで、市民の関心が高まってきた」と手応えを感じている関係者もいる。

 最近の市長選の投票率は2016年が48.78%で、20年は36.43%に低下した。ある市議は「知事選と比べて対決構図が明確でないことが、今回の市長選の投票率にどう影響するかだ」と推し量る。

 各候補は市民の関心を高めるため、街頭での訴えなどに奔走している。

 西秀記候補(59)は「露出を増やして市民に知ってもらわなければ」と話し、関良候補(65)は「市長選に関心のある市民は確実にいる。身近な選挙だと地道に訴えていく」と語る。

 大竹進候補(72)は「同日選で盛り上がってプラスに働くはず。投票率が上がってほしい」、野崎小三郎候補(44)は「政策を訴えて興味を持ってもらう。知事選の勢いに乗って投票率が上がれば」と期待を込めた。

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