神戸市が非正規職員「会計年度任用職員」の給与を大幅引き上げ 「官製ワーキングプア」から脱却へ

神戸市役所=神戸市中央区

 神戸市が非正規雇用の「会計年度任用職員」の処遇改善に踏み出した。今春から給与引き上げやフルタイム職の導入を実施し、秋には職務経験を加味した上乗せも検討する。市給与課によると、必要な人件費として18億円程度を想定しているという。

 会計年度任用職員は2020年、かつての非常勤職員を対象に新設され、常勤との格差是正を目指し、従来支払われなかったボーナス(期末手当)の対象とした。ただ依然として水準は低く「官製ワーキングプア」とも指摘されてきた。

 そこで政府はボーナス拡充を目的に地方自治法を改正し、24年度から期末手当に加えて「勤勉手当」も支給することを決定。神戸市も約6千人いる会計年度任用職員の大幅な処遇改善を検討していた。

 給与月額の引き上げやフルタイム職の導入は、事務補助を担う「一般事務職」が対象。従来は週4日勤務が中心だったが、この4月からは約200人が週5日勤務している。給与月額は3%アップさせ、今秋には一定の職務経験に対して5%の引き上げも検討中だ。

 ボーナス拡充などを含めると、従来196万円だった一般事務職の基本年収はフルタイムかつ職務経験が認められた場合、最高で約300万円となる。

 久元喜造市長は「経済活力を回復させるための賃金引き上げに自治体も対応しなければならない。正規職員との大きな処遇の違いは現場の士気にも関わり、思い切った改善が必要だ」と説明した。(井沢泰斗)

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