中学の卒業式「高校入試の後に」 宝塚など阪神間北部の4市町 入試前では「受験対策が不十分」変更望む声

今年3月に行われた三田市立けやき台中学校の卒業式で、保護者らに見守られながら花道を歩く卒業生=三田市けやき台2

 公立中学校の卒業式をめぐり、兵庫県宝塚市、川西市、三田市、猪名川町の4市町で来年3月から、これまで県立高校入試の前に設定していた日程を入試後に変更する。阪神間では長年、入試前に統一していたが、4市町は「入試前の卒業式は慌ただしい」といった生徒や保護者の声を受けて変更を決めた。尼崎、西宮、芦屋、伊丹の4市は従来通り入試前に行う。(まとめ・久保田麻依子)

 今年3月にあった2022年度の卒業式は、阪神地区7市1町の中学校と義務教育学校計78校のうち、夜間中学の1校を除いて全校が入試前に実施した。

 卒業式は各学校で設定しているが、校長会の申し合わせにより30年以上同じ日程としていた。学校関係者によると、「他校の生徒が卒業式に押しかけるなどのトラブルを避けるため」などの背景があったという。

 しかし保護者や生徒の間では長年、「入試に集中させたい」「落ち着いた環境で卒業式を迎えたい」などと、変更を望む声が出ていた。

 川西市では昨年、保護者有志がアンケートを実施。回答者の約8割が「入試後から合格発表の間」または「合格発表の後」の式開催を希望したという。市教委の調査でも、保護者の半数近くが入試後の実施を希望。これらを受けて市教委は今年3月、市の校長会に助言し、来年の高校入試(2024年3月12~13日)翌日の3月14日に実施することを決めた。

 宝塚市も「受験後、気持ちを整理して卒業式に臨んでほしい」と14日に変更。3月15日の実施を決めた猪名川町は「『(入試前の実施では)受験対策が不十分になる』『心の準備が必要』などの意見を踏まえた」とした。例年3月11日に設定していた三田市は、23年度から入試後に変更し、同年度は3月14日に実施する。

 一方、従来通り入試前に卒業式を行うのは尼崎市、西宮市、芦屋市、伊丹市の4市。いずれも来年3月8日を予定している。

 尼崎市は「阪神間の校長会では(慣例通り)入試前に実施することで合意していたため、変更しなかった」と説明する。西宮、尼崎、伊丹市は「24年度以降の日程は改めて協議していく」とした。

 県内では、新型コロナ禍前の2019年度はほぼ全ての公立中学校が入試前に実施していたが、22年度は神戸市や明石市、三木市など全体の45%にあたる150校が入試後に執り行った。

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