●「都内稼ぎにくく」「高額報酬揃ってます」
犯罪の実行役を交流サイト(SNS)で募る「闇バイト」で、「石川」の言葉が含まれる投稿が5月、10件以上確認されたことが30日、捜査関係者への取材で分かった。「石川県溢(あふ)れてます」「地方なら案件余ってる」といった記載があり、特殊詐欺や強盗のグループが犯行を計画していた可能性もある。県警はこうした事実を把握しており、凶悪事件の発生につながる恐れがあるとみて、警戒を強めている。
「石川」が含まれた闇バイトの募集投稿は、ツイッター上で複数のアカウントから確認され、長野や新潟、福井、山梨など、他の地域と並記されていた。
投稿の多くは「高額報酬受け取りの案件揃(そろ)っています」「裏の仕事をご紹介」「即日即金」と、高額報酬や日払いをうたっていた。別の投稿では「都内が稼ぎにくくなっています。関西や地方なら案件余っているのでご応募お待ちしています」「例 石川県溢れています」などと記されていた。
捜査関係者によると、闇バイトの募集では、記載のあった地域で特殊詐欺や窃盗などを行い、金銭を得ようと計画しているケースが多いとされる。
闇バイトをめぐっては、特殊詐欺の受け子や出し子のほか、空き巣や強盗の実行犯として加担させられた事件が全国で相次いでいる。「ルフィ」などと名乗る人物が指示したとされる一連の広域強盗事件では、実行犯の多くが闇バイトで集められたとされ、石川県関係では3人が逮捕、起訴された。
闇バイトが関係した事件を受け、全国の警察はサイバーパトロールで見つけたツイッターの募集投稿に対し、警告を出している。石川県警では2021年10月から同様の取り組みを始め、今年4月末までに計41件の投稿に警告し、このうち40件が削除された。
●「戸締まり徹底を」
県警によると、一度闇バイトに応募すると、指示役に個人情報を握られ、脅されて抜け出せなくなるケースがある。生活安全企画課の担当者は「闇バイトに加担すると、人生を棒に振る恐れがあり、安易に応募してはいけない。県民は万一に備え戸締まりを徹底してほしい」と呼びかけている。
★闇バイト 法外な報酬と引き換えにした違法行為。「高収入」「即日払い」といった誘い文句で、SNSやインターネット掲示板などで募集される。応募者は指示を受け、特殊詐欺の受け子や出し子、強盗、窃盗などの実行犯として利用される事件が全国で相次いでいる。