大分県内の県立高など、校内テストのAI採点を導入 教員の負担を軽減【大分県】

採点補助システムでは選択問題を自動で採点する。正解は青色、不正解は赤色で表示する(シンプルエデュケーション提供)

 県内の県立高と大分豊府中(大分市)の計41校が4月から、校内テストの採点を一部自動化するシステムを導入した。生徒の答案をスキャンし、記号などの選択問題は人工知能(AI)を使ってチェックする。採点にかかる時間を減らして教員の負担軽減、勤務時間の短縮につなげる狙いがある。県教委は生徒と接する時間が増える効果も期待している。

 記述式の部分はこれまで通り教員が採点するものの、設問ごとに生徒の解答を画面上で一覧できる。正解と簡単に比べられ、英語のスペルや漢字の書き間違いも見つけやすい。効率化や採点ミス防止に役立つという。導入費用は約600万円。

 大分市花園の大分豊府高は、希望する教員がシステムを利用している。記述部分が多い国語のテストでは、これまで1クラス分(約40人)の採点に6時間(生徒1人につき10分)ほどかかっていたが、使い始めてからは1時間程度になった。

 国語科の上田由貴子教諭(30)は「特に記述問題の部分点をつける際は便利」と説明する。

 得点の集計、問題ごとの正答率の計算も自動でする。化学科の桜井圭祐教諭(34)は「学年ごとの正答率を出す作業など、多くをパソコンでできるから体への負担が少ない」と効果を実感する。

 県教委は昨年度、県立の中高20校でシステムを試験導入した。利用した教員からは、長時間労働の削減のほか、「短縮できた時間を使って教材の準備に当てることができた」といった回答が目立った。

 システムを作った「シンプルエデュケーション」(東京)によると、導入事例は愛媛県教委や山口県教委など、教員の働き方改革の一環で増えているという。

 大分県教委教育デジタル改革室は「採点には時間がかかり、現場の負担感も大きい。引き続き、IT技術を使って教育環境の整備を進める」と話した。

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