ヤングケアラー、青森県内20人に1人 県が初の実態調査、「相談経験ない」8割

 青森県は30日、大人に代わって日常的に家事や家族の世話をする「ヤングケアラー」の支援に向けた初の実態調査の結果を公表し、家族の世話をしていると答えた児童生徒らが全体の4.8%(約20人に1人)だったことを明らかにした。小学生から大学生までの各年代で合計931人が該当し、このうち少なくとも55人は、子どもが中心的に一人で世話をしている「孤独ケアラー」だった。8割が「家族のことや世話の悩みを相談したことがない」と回答した。

 調査は昨年12月から今年1月にかけ、県内全ての小学6年生と中学2年生、高校2年生(通信制除く)、大学3年生の計3万2540人を対象に行った。学校を通じて依頼文を配布し、計1万9532人から有効回答を得た。回答率は60.0%で、年齢が上がるほど低くなった。

 ヤングケアラーの割合を学校種別にみると、小学生が最も高い5.9%(約17人に1人)。中学生5.0%(約20人に1人)、高校生3.3%(約30人に1人)、大学生は2.5%(約40人に1人)だった。

 家庭内で世話が必要な人は全体で「妹・弟」が最も多く、次いで「母親」、「祖母」などだった。世話の内容は「家事(食事の準備や掃除、洗濯)」が多かった。妹・弟の場合には「見守り」も挙げられた。

 責任や負担の度合いは、担う役割やサポートの有無などによって異なるとして、県は独自にヤングケアラーを三つに分類。孤独ケアラーのほか、家族と一緒に子どもが中心的に世話をする「メインケアラー」が全体で230人、中心的に世話をする家族を手伝う「サブケアラー」が646人いた。

 また、世話について「相談経験がない」と答えた人に、その理由を尋ねたところ(複数回答)、全ての年代で「相談するほどの悩みではないと思うから」が最多だった。悩みを聞いてくれる人がいるか-との問いには、各年代とも6~7割が「いる」と答えた。

 調査結果を受け、県は、子どもに身近な学校関係者らを対象とした研修会などを行い、早期発見の体制を整える方針。福祉などの既存施策に確実につなげる。今年の秋をめどに無料通信アプリ「LINE(ライン)」を使ったヤングケアラーの専用相談窓口も設置する。

 県こどもみらい課の大山和也課長は「県内でも全ての年代で、少なくない数のヤングケアラーが存在している。市町村や学校などと情報共有し、支援体制を構築していく」と述べた。

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