熱と煙、火災現場さながら 山形市消防本部が訓練設備導入し公開

新たに導入した設備を活用し、火災発生時の燃え広がり方などを確認する消防隊員=山形市

 山形市消防本部は、火災現場の状況を再現する新たな設備を県内で初めて導入し、公開訓練を30日、同市の西消防署で行った。煙(可燃性ガス)に引火して短時間で一気に燃え広がる「フラッシュオーバー」を防ぐ手法を確認するなど、安全で効果的な消火活動に役立てる。

 コンテナを活用した「実火災体験型訓練施設」は、長さ約12メートル、幅約2.3メートル、高さ約2.7メートル。内部の燃焼炉で木材を燃やし、現場と同様の熱と煙を再現することで、発生初期の燃え広がり方や、放水による変化を学ぶことができる。

 訓練には、同様の設備を持つ仙台市消防局で研修した職員5人をはじめ約20人が参加した。フラッシュオーバーの予兆となる天井付近の煙に沿って燃える「ロールオーバー」を確認したほか、空気が下部に集まることで視界が開け、活動しやすい「中性帯」を維持するため細かく放水する技術なども実践した。誤った消火によって高温の水蒸気が隊員側に返ってくること、排気口を開けて放水し、煙を外へ逃がす方法も学んだ。

 東消防署の武田智義消防司令補(40)は「火災は年々減っており、経験の少ない若手らにとって、現場に近い熱や煙を体感できることは、いい経験になる」と話した。施設は若手職員のアイデアを業務環境改善に反映する「K2プロジェクト」で提案を受け、本年度から運用を開始した。

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