往年のル・マンを制した『ジャガーCタイプ』『Dタイプ』が新車で甦る。6月には一般公開も実施

 ジャガー・ランドローバー・ジャパンは、ジャガー・クラシックが当時のモデルを忠実に再現した『Cタイプ・コンティニュエーション』および『Dタイプ・コンティニュエーション』の日本初上陸を記念し、両モデルを一般公開すると発表した。

 日本でも数量限定で販売される2台の展示は6月5日(月)~14日(水)に富士モータースポーツミュージアムで行われた後、6月18日(日)に行われるクラシックカーオーナー向けのミーティングイベント『Ralph’s Coffee & Cars supported by Octane』でも行われる予定となっている。

 ジャガーの『Cタイプ』および『Dタイプ』はレース専用車として開発され、スポーツカーレースにおいて大きな成功を収めた非常に名高いモデルだ。Cタイプは当時革新的だったディスクブレーキを装備し、1951年のル・マン24時間レースにおいて初参戦ながら見事に優勝。その後1953年にも平均速度105.851マイルの新記録を打ち立てて優勝を果たしている。

 またDタイプもル・マンでの優勝を目指して開発が行われ、1955年から57年まで3年連続で総合優勝という快挙を成し遂げた。

 今回日本での展示が行われる『Cタイプ・コンティニュエーション』と『Dタイプ・コンティニュエーション』は、こうしたジャガーにとって特に象徴的なレーシングマシンを新たに製作した“新車”であり、当時の図面と最新のCAD技術を駆使して設計が行われ、イギリス・コベントリーにあるジャガー・クラシックで手作業での製造が行われる。

 これらの生産には1台あたり3000時間以上もの工程を経るだけでなく、3.4リットル直列6気筒のXKエンジンのチューニングとバランスを完璧にするために、エンジンだけで9カ月もの時間を要するという。さらに『Cタイプ・コンティニュエーション』は全車で1000マイル(約1600km)の高速耐久テストが行われる徹底ぶりだ。

“コンティニュエーション”はフレームから新造される完全な新車だ。写真はDタイプ・コンティニュエーション

『Cタイプ・コンティニュエーション』は1953年のル・マン24時間レースを制した車両と同じ仕様となっており、当時のマシン同様にダンロップ製のディスクブレーキも装備される。『Dタイプ・コンティニュエーション』は1955年仕様のショートノーズと1956年仕様のロングノーズを選択できるようになっている点にも注目だ。

 また、どちらのモデルもオリジナルに忠実であることを基本としながらも、耐久性向上のためにボディパネルを厚くし、FIA公認の4点式シートベルト、自動消火システム、振動を軽減する最新の燃料バッグを装備するという安全面でのアップグレードが図られている。

 車両価格は『Cタイプ・コンティニュエーション』が150万ポンド(約2億6000万円)。当時100台が製造される予定だったが75台の完成に留まったため、今回新たに25台が製造される『Dタイプ・コンティニュエーション』は175万ポンド(約3億3000万円)となっている。

■主要諸元

モデル Cタイプ・コンティニュエーション

エンジン 3.4リットル直列6気筒トリプルウェバーキャブレター

ギアボックス 4速マニュアルトランスミッション
(当時の仕様と同様のPlessey Dynamics社製の油圧ポンプ付き)

シャシー マルチチューブラーフレーム(鋼製)

サスペンション 【フロント】独立懸架式サスペンション(ウィッシュボーン式およびトーションバースプリング)
【リヤ】パンハードロッド

ブレーキ ディスクブレーキ(ダンロップ製)

ホイールおよびタイヤ 16インチ、60本スポーク、6.50×16タイヤ

ホイールベース 2440mm

フロントトレッド 1295mm

リヤトレッド 1270mm

全長×全幅×全高 3990mm×1640mm×980mm(スクリーンを除く)

エンジン

内径 83mm

行程 106mm

排気量 3442cc

圧縮比 8:1

最高出力 218.5bhp/5250rpm

最大トルク 298Nm

最高速度 148.8mph

0-60mph加速 6.6秒

モデル Dタイプ・コンティニュエーション

エンジン 3.4リットル直列6気筒トリプルウェバーキャブレター
【ショートノーズ】DOHC
【ロングノーズ】DOHCワイドアングルシリンダーヘッド

ギアボックス  ジャガー社製4速マニュアルクロスレシオトランスミッション

シャシー レナルズ531チューブラーフレーム

ボディ 【ショートノーズ】アルミ製(リベット付き)、運転席側のドア、ショートノーズ仕様のボンネット、シングルハンプリアクラムシェル、スペアホイールコンパートメント、助手席側のトノ-カバー
【ロングノーズ】アルミ製(リベット付き)、運転席側と助手席側のドア、ロングノーズ仕様のボンネット、トールフィンリアクラムシェル、スペアホイールコンパートメント

エンジン

内径 83mm

行程 106mm

排気量 3442cc

圧縮比 9:1

最高出力 【ショートノーズ】295bhp/6000rpm
【ロングノーズ】320bhp/6000rpm

最大トルク 352Nm

ジャガーCタイプ・コンティニュエーション
オリジナルとは異なり、安全面を優先した4点式シートベルトが備えられるインテリア
ジャガーは1955年当時『D-TYPE』を100台製作する計画だったが、実際に作られたのは75台のみだった。Dタイプ・コンティニュエーションは当時の設計を忠実に再現し、残りの25台が製造される。
Dタイプ・コンティニュエーションに搭載される3.4リットル直列6気筒XKエンジン。組み合わされる3基のキャブレターはウェーバー製
Dタイプ・コンティニュエーション 1955年のル・マン参戦車と同様のショートノーズ仕様
Dタイプ・コンティニュエーション 1956年のル・マン参戦車と同様のロングノーズ仕様も選択可能となる
Cタイプ・コンティニュエーションのステアリングと計器類
Dタイプ・コンティニュエーションでは16色の外装色が設定され、インテリアカラーも9種類が用意される。

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