<金口木舌>弱い者いじめじゃないか

 宮古、八重山諸島に適用された人頭税の廃止から今年で120年になる。15歳から50歳の人に頭割りで税を課した人頭税の廃止を求める請願書には「飢餓」や「一家離散」と記されている。苛税の一端が知られる

▼収入などに関わりなく一律に一定額を課すのだから、貧しい人ほど税負担は重く、家計は厳しくなる。そのため逆進性があるといわれ、世界の導入事例からも悪税の代表格とされる

▼そんな悪税を彷彿(ほうふつ)とさせる。少子化対策の財源確保で社会保険料への上乗せ案が政府で浮上している。国民1人当たり月500円程度の負担増とか

▼「人頭税みたいだ」と批判したのが島根県の丸山達也知事。「逆進性の強い国民負担の増加策を取るというのは、それで子どもが増えると思いますか」とも。あべこべな施策に異を唱えた

▼経団連会長に至っては逆進性のある消費税を少子化対策に挙げる。最高利益を上げる企業もある。ネット上では「法人税を上げろ」の声が上がるのも当然か。現代の人頭税に消費税。あまりにも弱者いじめではないか。

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