シリーズ完結「美少女戦士セーラームーンCosmos」三石琴乃、井上麻里奈が〝恋バナ〟で持論展開

人気アニメシリーズ最新作、劇場版「美少女戦士セーラームーンCosmos」(前編6月9日公開、後編同30日公開、髙橋知也監督)の公開直前イベントが31日、都内の新宿バルト9で行われ、エターナルセーラームーンおよび月野うさぎ役の三石琴乃、セーラースターファイターおよび星野光役の井上麻里奈が登壇。ファンから寄せられた悩みに回答するコーナーでは、恋愛話も飛び出した。

2014年に始まった新シリーズの完結編。声の収録は2年前に終えており、三石は「ようやく皆さんに見て頂けるということで感無量です」とうなずいた。ファンが詰めかけた会場に視線を向け「あまり見ると涙が出てしまう。今日は笑顔で行きましょう」とほほ笑んだ。幼少時からアニメに親しんできた井上は「ついにこの時が来てしまったんだと、皆さんの顔を見て実感が湧いてきました。私が演じることが発表されたとき、本当にたくさんのお声を頂き、それだけ皆さんにとって星野光という存在が大切なのだと、プレッシャーを感じています」と感慨深げに語った。

ここで三石は、コスプレ姿やグッズを手にするファンに顔を向け「どうもありがとう。みんなで持ち寄って盛り上がるの大好き」と明るい口調で呼びかけ、会場を華やかな雰囲気に変えた。グッズショップに通っていることを明かすなどして、会場に笑顔を誘った。

新シリーズの1期から5期はもちろん、1993年開始のテレビシリーズから月野うさぎを演じ続けた三石。「月野うさぎという女の子は割と成長していない。おっちょこちょいで泣き虫なのは相変わらずで、仲間が襲われたり、ピンチでは、泣いて動揺してしまう」と、これまでの歩みを振り返った。それでも「今回の前後編で地球を守るプリンセスとしての強さというか、この戦いを終わらせるという思いを、人に助けてもらいつつも頑張ってきたから、ひとりで選べるようになったな、という変化を感じています」と、目を細めた。

幼少期から作品を愛してきた井上は、三石とは異なる視点から感慨を抱いた。「私の役やお芝居を気にしつつも、どうしても、うさぎちゃん目線で映画を見てしまう。今回は最初から苦しい、切ない思いで始まるうさぎちゃんだけど、それでも、今まで大切にしてきたものを守るために戦う姿は、うさぎちゃんにとっての成長であり、元々持っていた大切な素晴らしさだろうなって思う」と、しみじみ口にした。そして「子どもの時はキラキラした変身シーンがカッコイイと見ていたけれど、大人になるとうさぎちゃんの思い、愛を深く感じられた」と続けた。

三石と井上がそれぞれの見どころを挙げ、ファンからの質問、悩み相談コーナーに移った。

朝起きが苦手な小学1年生の娘を持つ母親の悩み。三石は「私は起こされたら起きる、普通の子でした」と自身を振り返りつつ「小1っていうのは、幼稚園から小学校に上がって毎日緊張しているし、急にお勉強で朝から夕方まで授業で座っていないといけない。緊張と環境の変化で疲れてるんですよ。だからいっぱい食べて寝て、寝かせてあげよう」と寝坊を容認。「小学校時代の遅刻なんか大人になって全然関係ないよね」と付け足した。

井上は小学生時、電車で登校していたという。「お父さんが教師の学校に通っていたので、お父さん、お兄ちゃんと私、みんなで学校に行っていました」と明かした。悩みの解決策としては「朝に楽しみをする時間を作るっていうのはいいかな」と回答。ゲームや趣味などの時間を、朝に設けることを提案した。

続けては、片思いに悩む女性の恋愛相談が提示。井上は「状況による!」と即答し「叶わない恋…結婚されている方とか、2次元とか、芸能人とか」と列挙し「推し(キャラ)と結婚される方もいらっしゃいますし」と続け、相談内容を複雑化させた。三石はやや慌てつつも「恋をしてドキドキすること自体が美しい。いいなと思います。恋をするって素敵」と流れを変え「思い続けて次に行けないなら告白して散るなり、実ってもいいし、言えなくてもその気持ちは素敵だなと思います」と着地させた。井上は「叶わないのレベルにもよりますが…」と状況設定に未練を残しつつも、「大自然を見たりすると悩みがちっぽけだと思うので、普段と違う環境に身を置いて、一度無になってみるのはいかがでしょうか」と、最後はまとめてみせた。

登場キャラクターと友だちになれるなら誰、という質問。三石は「私はセーラー戦士のみんなの中に交じりたい」と答え、井上は「交じりたい気持ちもありつつ、こっそり眺めていたい気持ちもある」と回答した。三石から「女子だけの生態を眺めるか、一緒にワイワイやるかってこと?」と、問われた井上は「そうなんですよ。最近思うのは、屋上で寝ている不良の役で、うさぎちゃんが屋上で秘密を話したり戦っているのを、頑張っているなと見ながらも関わらないでいるのがいいな。私は授業をサボっている不良で、知っているけど関係ないという」と答え、質問の趣旨から少し外れ、不良の新キャラクターを登場させていた。

また、セーラー戦士と交わりたいと答えた三石は、その交流内容を聞かれ「温泉とか行きたいな。計画するのは(水野)亜美ちゃん」と話した。井上は「何も予定立てずに行ったら、亜美ちゃんが予定を立ててくれてそう」と応じ、盛り上がった。

最後に改めて月野うさぎの魅力を質問された三石。「お勉強できないし泣き虫だし、スタイルも他のみんなより良くないという設定。だけどすごいのは、相手の気持ちを自分のように感じて、特に苦しんでいる、悲しんでいる相手に会うと、敵や男も女も関係なく共感して、救いたいと思うところは、私が好きなところ。相手の気持ちに寄り添って行動できると、素敵な女性になれるのかな。ついついパッと出た言動を真に受けて対応しちゃうけれど、その裏にまで思いを巡らせると素敵な大人になれると思います」と答えた。井上は「私はうさぎちゃんに憧れている」と前置きした上で「うさぎちゃんが、他の人は関係ない、私はあなたと友だちになりたい、と話す言葉に救われました。相手の素敵なところを見つけてあげるのが、一番素敵なところかな」と語った。

月野うさぎを演じ続けてきた三石、幼少時から憧れを抱き今作で共演を果たした井上。世代を超えたトークイベントで三石は「8年前から始まった新シリーズ。前のシリーズも含めて、愛のある役者さん、スタッフ、監督を含めていろんな思いを込めて作ってくれました。今回最終章の前編ですね。私もいろいろ思いを込めて、後編まで演じさせていただきました。その思いを少しでも受け取ってもらえたら嬉しい」とあいさつ。続けて声色を変え「『「美少女戦士セーラームーンCosmos」』前編後編、続けて応援してくれないと、月に代わってお仕置きよ!」と決めゼリフを披露。拍手に包まれ、トークを締めくくった。

劇場版「美少女戦士セーラームーンCosmos」の公開直前イベントでファンと一緒に撮影する井上麻里奈(左)と三石琴乃=都内
劇場版「美少女戦士セーラームーンCosmos」ポスター (C)武内直子・PNP/劇場版「美少女戦士セーラームーンCosmos」製作委員会
劇場版「美少女戦士セーラームーンCosmos」画面カット (C)武内直子・PNP/劇場版「美少女戦士セーラームーンCosmos」製作委員会

(よろず~ニュース・山本 鋼平)

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