<南風>もっとお米を食べよう

 お米の魅力を伝えるフードイベントを何度か実施してきたが、私自身も大のお米好きである。

 日本人と言えば、お米が主食というイメージがあると思うが、総務省の家計調査報告によると、1世帯当たりの米の消費額よりパンの消費額が上回っているという。私にとっては、衝撃のニュースであった。

 日本人のお米離れは、食生活のグローバル化が進み、パンを合わせる料理が増えたことや、家族そろって食卓を囲む機会が少なくなっていることも要因と考えられる。しかし、統計結果は、消費額の調査である。総菜パンや菓子パンを購入すると1食分の消費額はなかなかの金額になる。

 一方、お米はどの家庭も5キロや10キロ単位でおおよそ2千円から4千円台で購入し、数日間の主食になる。お米はコスパがいいというメリットも浮かび上がる。また、最近では炭水化物抜きダイエットのブームにより、ご飯は太るというイメージが強くなっている。

 しかし、お米はパンよりもかむ回数が多く、満腹中枢を刺激するので、満足度が断然高くなる。糖質を控えるダイエットも人気だが、肉類など脂質中心の食事は食欲をかきたてるホルモンであるグレリンを抑えることができず、すぐに空腹を感じたり、ついつい食べ過ぎたりすることも。

 それに比べ、お米の糖質は、ゆっくりと消化・吸収され、血糖値も緩やかに上昇するため、腹持ちがいいのもうれしいポイントだ。米を主食とする米食圏の国は、非米食圏の国に比べ、肥満度が低く、生活習慣病のリスクが少ないという調査結果もある。

 米を主食とし、大豆などの植物性のたんぱく質や、食物繊維を豊富に採り入れた和食は、世界が注目する。いま一度、家庭の食卓を見直し、お米が主役の食事の素晴らしさを体感してほしい。

(下地友香、ちゅらグルメ編集長)

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