平田憲聖が14本をセルフ解説 ミズノ「FLI-HI」は8000円で購入!?

優勝から2日後に撮影。平田憲聖のクラブセッティング

◇国内男子◇BMW 日本ゴルフツアー選手権 森ビルカップ 事前(29日)◇宍戸ヒルズCC西コース(茨城)◇7430yd(パー71)

前週の「ミズノオープン」で初優勝を遂げた22歳の平田憲聖。その興奮の余韻が残るなか、契約先であるミズノのクラブの話を中心に14本のこだわりを語ってもらった。試合中のキリっとした表情が印象的だが、クラブのことを話し始めると相好は崩れ、舌は非常になめらかになった。

まずはミズノの新作「ST-X 230 ドライバー」の話から。昨年の「カシオワールドオープン」からすでに投入済みだったが、「最初はなかなか合わなくて」と今年のオフに再びテストを繰り返していた。その中で、「VENTUS TR BLUEの45.75インチ(6Xの半インチ先端カット)との相性がすごいハマった。45インチも試したんですが、(クラブが)長い方が曲がらなかった」とベストマッチのシャフトが見つかったことが大きかったようだ。

評判のいいミズノの新作ドライバー(撮影/服部謙二郎)

ロフトがあるように見せない工夫としてフェース上部に自ら黒いペイントを施しているが、「練習場で高いティで打つと上部に当たって消えちゃう」とすでに中央部が薄くなっていることが分かる。「正直フェース上部を全部塗らなくてもいいんです。ヒール寄りのネックとのつながりのところがいちばん気になるので、先(トウ)のほうが消えていても大丈夫です」

実はこの“お絵描き”は平田にとっては慣れたもの。「構えたときに左を向いていたら嫌だし、右を向いていても嫌。顔によってつかまえにいったり、逃がしたり反応しちゃうんです。ですから他のクラブも自分でちょこちょこ塗りながらやっています」

スコアラインもお絵描きして見え方を工夫(撮影/服部謙二郎)

話を聞く限り、平田のクラブ選びのファーストプライオリティは「顔」。ドライバー同様にアイアンも、そのネックからトップラインにかけてのいわゆる“フトコロ”の見え方を重視している。

「グースが入ったクラブが好きなんです。ドライバーのヒール側を黒く塗るのも、フェースが前に出ないように見せたい意識から。アイアンも一緒で、元々使っていた『ミズノプロ520』もグースが入ったモデルでしたし、今は同じグースでも少しすっきりとしたモデルを選びました」。平田のエースアイアン「JPX923 TOUR」は、ややオフセットの入ったトップブレードの細い小ぶりな鍛造アイアンだ。

小ぶりな鍛造キャビティ(撮影/服部謙二郎)

14本の中で目立つのは、2本のアイアン型UT「FLI-HI」の存在だ。「3番は完全にユーティリティ感覚で飛ばすモデル。強い球で前に行きます。4番はユーティリティというよりはやさしさ重視のアイアン感覚。スピンが入って止めやすい」と平田の狙いはそれぞれで違う。

実はこの4番の「ミズノ MP FLI-HI(2010年モデル)」はセットの中で一番古いモデル。「同級生が使っているのを見て、『ミズノでもこんなんあるんや』ってなって。めっちゃ顔が良くて、打った感じの柔らかさもある。中空だとどうしてもパンッと飛んじゃいますが、これはスピンが入って球を上げられる安心感があったんです。すぐに調べて中古ショップで8000円で買いました(笑)」と、昨秋の運命的な出合いから即レギュラー入り。

中古で買ったヘッドにアイアンと同じモーダスを装着(撮影/服部謙二郎)

そして本人が「おもちゃっぽいパターですよね」と表現するオデッセイの「EXO ロッシー」は、高校生の頃から使ってきた年季の入ったモデル。「この真ん中の赤い線の印象が強くてストローク中に残像が残るんですよ。真っすぐ動かしやすい」と、他のクラブ同様に“見た目”がお気に入り。

厳密に言うと高校の頃からのヘッドとは異なり、この春から同じモデルのインサート違いに変更していた。「EXOの純正は凹凸のついたインサートですが、ホワイトホットインサートに替えてもらいました。(前のインサートより)打感が硬くなり、打った瞬間ボールがパッと前に出て芝の抵抗に負けずに飛んでくれます。それがいい感じにハマりました」と今年の「関西オープン」から使用し、パットの調子を支えている。

クラブの話は止まらない(撮影/服部謙二郎)

ちなみに、「今はこの大きさ(マレット)で安定している」だけで、平田が「日本学生」に勝ったとき(2021年)はピン型を使用していたという。「初代のホワイトホットインサートが入ったヘッドがお気に入りでした。ロングネックかつロングスラントのやつで、高山忠洋さんが使っていたモデル(#6)です。それこそ中古で3000円で買ったのを覚えています」

初優勝を支えた14本(撮影/服部謙二郎)

まだまだクラブの話は尽きない様子だったが、キリがなさそうなのでこの辺でお開きに。ボールは中学生のころからのスリクソンラバー。今年からプロの間で評価の高い「Z-STAR ダイヤモンド」に替えている。

<平田憲聖のクラブセッティング>
ドライバー:ミズノ ST-X 230(10.5度)
シャフト:藤倉コンポジット VENTUS TR BLUE(重さ60g台、硬さX、長さ45.75インチ)

フェアウェイウッド:キャロウェイ パラダイム トリプルダイヤモンド(3番15度)、テーラーメイド ステルス プラス(5番19度)
シャフト:藤倉コンポジット VENTUS TR BLUE(3番/重さ70g台、硬さX)、グラファイトデザイン ツアーAD TP(重さ70g台、硬さX、5番)

ユーティリティ:ミズノ ミズノプロ FLI-HI(2021年モデル/3番19度)、ミズノ MP FLI-HI(2010年モデル/4番24度)
シャフト:グラファイトデザイン ツアーAD プロトタイプ(3番)、NSプロ モーダス3 ツアー115 フレックスX(4番)

アイアン:ミズノ JPX 923 TOUR(5番~PW)
シャフト:NSプロ モーダス3 ツアー115 フレックスX

ウェッジ:ミズノプロS18(52度、58度)
シャフト:NSプロ モーダス3 ツアー115 フレックスS

パター:オデッセイ EXO ロッシー

ボール:スリクソン Z-STAR ダイヤモンド

3番ウッドはパラダイムのトリプルダイヤモンド(撮影/服部謙二郎)
5番ウッドは初代のステルス(撮影/服部謙二郎)
黒染めがカッコいい(撮影/服部謙二郎)
S18ウェッジの顔が好み(撮影/服部謙二郎)
高校からの相棒に味付けを加えた(撮影/服部謙二郎)
今年から“ダイヤ”に(撮影/服部謙二郎)

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