転倒して意識もうろうの女性を発見、反対車線からUターンし… 敦賀気比高校野球部コーチの神対応

百田ミサヱさん(左)と再会した川下竜世さん=福井県敦賀市の敦賀気比高校グラウンド

 福井県の敦賀気比高校野球部コーチの川下竜世さん(29)が4月中旬、ウオーキング中に転倒し意識がもうろうとしていた敦賀市内の1人暮らしの高齢女性を病院に連れて行き、検査で無事が確認される夜遅くまで付き添った。学校を訪れた女性と再会した川下さんは、「驚いて自然と体が動いていた。無事で何よりでした」と女性が元気になったことを喜んだ。

 百田ミサヱさん(85)は4月16日午後7時過ぎ、日課のウオーキングの途中、自宅から50メートルほど手前の歩道で転倒し、顔や左手を地面に打ってけがをした。「血が出ていて、立ち上がると、ふわふわと雲の上を歩いているような状態」(百田さん)だったという。

 当時、川下さんは反対車線を車で通りかかった。何台も通り過ぎる中、倒れていた百田さんを見つけるとすぐにUターンして戻り、車を降りて駆け寄った。「家が近いので大丈夫です」と百田さんに言われたものの、うまく立てない様子をみて、抱えて車に乗せ市内の病院に連れていった。

 1人暮らしと聞いていたため、手当や検査が終わるまで病院で待ち、帰りも家まで送った。午後10時を過ぎていた。後日、家まで様子を見に行った。

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 このほど、百田さんは同校で川下さんに再会し「こんなに親切な方がいるなんて。人の温かさを改めて感じた」と感謝を伝えた。川下さんは「病院でも百田さんからはタクシーで帰れます、と言われたけれど、心配でほっとけなかった。これからも何かあったら遠慮なく言ってください」と練習で日焼けした顔をほころばせた。

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