「苦しい1年」を糧に 米澤蓮「64」の陰に名伯楽あり

国内メジャー初戦を「64」で飛び出した(撮影/和田慎太郎)

◇国内メジャー◇BMW 日本ゴルフツアー選手権 森ビルカップ 初日(1日)◇宍戸ヒルズCC西コース(茨城)◇7430yd(パー71)

午前6時50分と早朝のスタートだった米澤蓮が8バーディ、1ボギーの7アンダー「64」で今季国内メジャー初戦を飛び出した。

「パッティングが一番良かった」と評価したように、5mほどのバーディトライを次々と沈めて18ホールを23パットでまとめた。ピンチは唯一のボギーとなった14番くらい。13番(パー3)や難関17番でも惜しいシーンがあったものの、「ちょっとそれは欲張りすぎかな(笑)難しいコースなので、アンダーパーで回れたらナイスプレーと思っていました」と充実感がにじんだ。

この日冴えわたったパッティングは、ウィークポイントとして自覚していた部分でもある。昨季の平均パット数「1.8193」はランキング対象外ながら、部門別で90位台に相当する数字。「パッティングが下手くそっていうスタッツなので…」と自虐節を漏らしつつ、グリーン上次第で持ち味のショットが生きてくるとも感じていたという。

開幕前日にはジョーンズ氏(左端)と話し込む場面もあった(撮影/亀山泰宏)

大きかったのは、日本ゴルフ協会(JGA)ナショナルチームのヘッドコーチ、ガレス・ジョーンズ氏の存在。ナショナルチームを経てプロとなった選手たちのサポートのため、前週に続いて今週も会場に足を運んでいる。米澤も開幕前日の練習グリーンでコミュニケーションを重ね、「自分の中でラインの読みがずれていたので、グリーンの読み方、速いグリーンへの対処を(相談した)。苦しいときに聞ける人、頼れる人がいるのは心強い」。ナショナルチーム時代に直接教えを受けていたときよりもアップデートされたジョーンズ氏の引き出しが、改善へのヒントをくれたと感謝する。

パットに手応えを感じた一日(撮影/和田慎太郎)

2度目のプロツアー出場だった2019年「ダイヤモンドカップ」で2位に入るなどトップアマとして活躍も、プロ転向後は上位に絡めずにいる。「周りの皆さんが思っているほど、自分に期待していないですよ」と笑わせたが、アジアンツアーにも挑んだ昨年のルーキーイヤーを「正直苦しい1年だった。(ゴルフの)内容、自分のやっていることが分からなくなるというか、かみ合わない感じ。次にどれをやろうか…みたいな」と振り返る。

昨年の苦労を糧にして(撮影/和田慎太郎)

さらに東北福祉大の後輩・蝉川泰果らもツアーで台頭してきた。「当然焦りもありますし、周りが活躍していたら『いいなあ』と思わないと言ったらウソになる。でも、まだまだ始まったばかりと自分に言い聞かせて、ブレないようにやれたら。苦しかったけど、(いまとなっては)よかったと思っています」。アマだった2018年「ダンロップフェニックス」最終日に出した「63」に次ぐ好スコア。順風満帆とはいかなかったキャリアの入口を抜け、確実にたくましくなった。(茨城県笠間市/亀山泰宏)

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