はじめまして、白崎裕子です。
卵や乳製品を使わないお菓子の世界の材料の選び方から、入れる順番、理論など「おいしいの基本」や「コツ」まで。
「白崎茶会」という教室を通してこれまでさまざまなことを伝えてきた私が、改めて多くの人に知って欲しいその基本をご紹介します。
さあ、みなさん、あたらしくておいしい世界を体験してみてください。 今回は「米粉の型抜きバニラサブレ」をご紹介します。
米粉の型抜きバニラサブレ
お菓子作りの初めの一歩が詰まったシンプルなサブレ。バターを使っていないのに、まるでバターがたっぷり入っているかのようなリッチな味わいに仕上がります。焼いて粗熱をとった直後ならしっとり、常温ならざくざく、冷やすとさくさくに。食べるときの温度で食感が変わるのも面白いので、その違いもぜひ楽しんでください。
作り方
【1】粉類を混ぜる
【2】てんさい糖を混ぜとかす
【3】ココナッツオイルと乳化させる
1.とろり
2.もったり
3.ねっとり
4.プルプル
【4】さらに乳化をすすめてクリーム状にする
1.さらり
2.とろり
3.白っぽくなり始める
4.白くふわっと
【5】粉類を加えて混ぜる
【6】生地を冷やす
【7】型抜きをして冷やす
【8】オーブンで焼く
完成
乳化がうまくいくと生地に空気がしっかり含まれ、サクッとしたおいしい食感に仕上がります。
おいしい基本のお話
#ココナッツオイル
ココナッツオイルは低温(24℃以下)で固まる性質があるので、固まっているオイルを溶かすときは50℃くらいの湯せんにかけて溶かします。温度を上げすぎないこともポイント。ココナッツオイルを使った乳化の作業は気温も影響するので室温を22℃前後にすると作業がうまくいきやすいです。
ココナッツの香りが強いものと、精製して無味無臭のものがあり、どんなレシピにも使いやすい無味無臭のものがおすすめ。オイル類のなかでもっとも酸化しにくいオイルで、クッキーはさくさくに、ケーキはふんわりと仕上がる特長があります。
#バニラペースト
今回のレシピでは、バニラビーンズやバニラエクストラクト、バニラエッセンスではなく、バニラペーストを使っています。その理由はずばり、乳化をしやすくする"とろみ"があるからです。
乳化をうまくいかせるために、それぞれのレシピで材料の組み合わせを最適化しています。このバニラペーストの存在も成功の鍵を握っているというわけです。
#乳化
「乳化」とは水分と油が混ざり合うこと。
今回の材料ではココナッツオイルと豆乳が混ざるときにこのワザを使っています。
「乳化」をすることで、油が粉にまんべんなくいきわたった生地になり、形は美しく、味はおいしく仕上がる、ナチュラルスイーツ作りの要となるワザです。「乳化」をする組み合わせはこのほかに、メープルシロップ×なたね油、豆乳ヨーグルト×なたね油などさまざまなバリエーションがあり、乳化は素材にとろみがあるほど簡単になります。
そのため、豆乳ヨーグルトを使ったり、豆乳にレモン汁を加えたり、てんさい糖をメープルシロップに溶かしてとろみをつけたりなどの工夫をレシピでしています。
今回のレシピでは、粉類が少しついた泡立て器で混ぜたり、バニラペーストの粘度を利用したりして「乳化」をしやすくしています。
白崎裕子先生のレシピ連載
vol.2
白崎裕子先生
PROFILE
自然食品店「陰陽洞」(神奈川県・逗子)が主宰する料理教室の講師を経て、葉山町の海辺の古民家でオーガニック料理教室「白崎茶会」を始める。全国から生徒さんが集まり、予約の取れない人気教室に。作る楽しさやおもしろさ、その理論をたくさんの生徒、読者に伝え続け、現在はオンライン教室「白崎茶会レシピ研究室」で料理やお菓子、パンのレッスンを配信中。『白崎茶会のあたらしいおやつ』など著書多数。
撮影/寺澤 太郎 取材・文/田中 祐子
白崎茶会レシピ研究室
白崎裕子先生が季節の食材やテーマに合わせて、さまざまな料理やお菓子を生配信でお届けする白崎茶会レシピ研究室。ライブとお話し、とっておきのレシピが楽しめちゃいます。