小橋建太が語る“不沈艦”スタン・ハンセンとの後楽園での秘話、引退から10年が経過した現在

約1年ぶりとなる6月14日(水)、東京・後楽園ホールにて開催される小橋建太完全プロデュース興行第8弾『Fortune Dream 8』。

団体の枠を越えた戦士が集結し、過去7回開催された『Fortune Dream 』。

小橋氏自身が出場する選手を厳選しマッチメイクする第8回となる今大会も『Fortune Dream』ならではの団体の枠を越えた対戦が実現する。

各試合の見どころを本人が語るほか、トークバトルを行う“不沈艦”スタン・ハンセンさんとの後楽園でのエピソード秘話や、引退してから10年が経過した現在の小橋建太氏に迫る全2回の独占ロングインタビューを掲載。

第2弾インタビューでは『Fortune Dream 8』大会でトークバトルを行う“不沈艦”スタン・ハンセンさんとの後楽園でのエピソード、昨今の女子選手の活躍、Fortune Dreamに参戦させたい選手、引退してから10年が経過した現在の心境を伺った。

各試合見どころを語った前編:

①「不沈艦」スタン・ハンセンさんとのトークバトルへの意気込み

▼トークバトル スタン・ハンセンvs小橋建太(Fortune KK)

ーーそして小橋さんご自身も不沈艦スタン・ハンセンさんとのトークバトルが決定しました。これはやっぱりご自身の大会でファンの皆さんにトークバトルを見せたいという気持ちが強かったということでしょうか?

そうですね、もちろん。というよりリング上で、試合じゃないですけど、トークバトルという形でやりたいという思いはありましたね。去年ダメになって今年、呼べるチャンスがあったので。やっぱりどうしてもやりたい、リング上でやりたいという思いがあったので。そんな何回もチャンスはない。タイミングもありますから。やっぱりチャンスだと思ったときは、それをちゃんと取りに行かないとと思って。そしたらトントン拍子に話が進んで。

――これはやっぱり小橋さんとハンセンさんが長年の闘いの歴史ももちろんありますし、小橋さんがハンセンさんに抱いている思いみたいなものもすごくあると思いますので。小橋さん的にはハンセンさんとの思い出ってたくさんあると思いますけど。試合を通じて、ハンセンさんというのはリングの上と、引退してからと随分表情も違ってきたかなと思います。小橋さん的にはいかがですか、そういう部分も踏まえて。

本当に若手の頃からセコンドについていても試合でも、本当に世界一のラリアットですよ。1試合で3回受けたこともあります。

――3回もですか。

1試合で。やられたこともあります、シングルマッチで。本当に、ラリアットということに関してもハンセンがいなかったら、それはない。ハンセンにあそこまでやられたからこそ生まれた。自分のラリアットというのは、ハンセンにやられたからこそ生まれたものだし。そういった意味でもハンセンとリング上で。特に去年がなくなっているので、今年はリベンジしたいなと思ってたんですよ。

――若手の頃はハンセンさんのセコンドとかリング周りにいるのって、やっぱり怖かったですか。

怖くはないです。怖いと思ったらできないですから。もうシバかれてもいいように、どつかれてもいいように覚悟はしてましたけどね。

――セコンド、リング下の若手のときでも、いつ来られても大丈夫なように身構えは一応されてたんですね。

気を抜けないし、どんなときも。

――ハンセンさんは特に、目があまり良くないんですよね。

どこから何が飛んでくるか分からないので、いつも気合い入れてやってました。もう本当に試合が終わって止めに行ったら、暴れまくるので。止めに行くとラリアット。ジャンボさんを僕が止めてるのに、ハンセンが後ろから来て、僕を捕まえて僕にラリアットするんですよ。

――それはそれは、ラリアットをやりがいのある若手という感じだったんですね。

本当にそういったおかげでラリアットの威力というものを体験することができたので。だから本当に自分にラリアットのすごさというものを教えられましたね。若手の頃はただ当てるだけで使ってましたけど、ハンセンのラリアットというのは一発一発しっかり踏んで当てて、他の人とやっぱりちょっと違ったんですよね。若手にも容赦なく飛んできますから。だから研究しましたね。のちに自分が使うようになって、どうしたらハンセンのラリアットを超えることができるかと。

――そんな激闘を繰り広げたハンセンさんとの思い出も含めて、今回のトークバトルではお客さんにどんなところを見どころとして期待させたいですか。

実は僕がラリアットをフィニッシュ・ホールドとして使うようになってから、ハンセンに後楽園で言われたことがあるんです。ジョー樋口さんが『小橋、ハンセンが呼んでるよ』って。

――「何で?」と思いますよね。

ハンセンの言っていることをジョーさんに通訳してもらいました。『お前がラリアットを使うということは分かった。ただラリアットは一発で倒せ。一発で倒す、それが本当のラリアットだ。』「分かった」と。「もう絶対一発で倒す。どんな大きい相手であっても。」どんな相手でも。ハンセンは昔、田園コロシアムでアンドレ・ザ・ジャイアントにラリアットやって、その場で倒れなくて場外に落としました。やっぱり一発で吹っ飛ばす。どんな相手に対しても一発。その一発で吹っ飛ばす。例えフォールを奪うことができなかったとしても一発で吹っ飛ばすのが本当のラリアットだと。一発で倒さなくちゃいけない。一発でもフォールを奪えないときもある。返されるときもある。何回か僕もありますけど。ただ、一発でぶっ倒すというのは、それは最後までハンセンとの約束は守れました。

――いい話ですね。リング上でぜひ皆さんにも、その話を。

Fortune Dreamが同じ後楽園なので、その話ができれば面白いかなと思います。とにかく一発で吹っ飛ばすということは約束しました。約束というか、『これが本当のラリアットだ』と言われるんですよ。

――それを心に刻んだわけですね。

そこはラリアットを本道というか、そういう意味で、それを守らないといけない。ラリアットを繋いでいく本家ですから。誰が何と言っても、本家とか何とか言っても、ハンセンが一番最初ですから。

――今の話も深いですね。ありがとうございます。非常にいいお話を伺えて良かったなと思います。

➡次ページ(昨今の女子選手の活躍、Fortune Dreamに参戦させたい選手、引退してから10年が経過し現在の心境)へ続く

②女子選手の活躍をどう見ている

ーー今、日本マット界の女子プロレスラーが非常に活躍している現状を小橋さん的にはどういう風に思っていらっしゃいますか。

女子選手の活躍は注目しています。Fortune Dreamの今回も含めて参戦してもらってますし、フリー選手も含めて多いじゃないですか。先日スターダムで現役引退したひめか選手も昨年Fortune Dream 7に出てくれましたよね。

――ひめか選手は大きいからやはり見栄えがしますよね。”ジャンボプリンセス”として彼女もやってたんですけど、25歳で引退ということに。小橋さん的には、彼女にかける言葉は何かあったりしますか。

いや、ちょっと早かったかな。もうちょっと見たかったですね。去年もいい感じで、いい試合をやってくれたので、Fortune Dreamでまだ見たかったなというのはありますけど。本人が決めた以上は、違う世界で頑張ってほしいなと思います。

③Fortune Dreamに参戦させたい選手とは?

――いろんな選手が上がってくるFortune Dreamですが、誰を上げたいなというところって、毎回悩んだりしますよね。

それはしますね。これだけ選手がいるので誰を選ぶかというのも難しいです。やっぱりみんな団体がありますからね。

――あとそのときの団体の状況にも応じて、タイミングが本当に合わないと難しい場合もありますよね。

そうです。その日に試合が入っているとか、そういうこともありますし。まずは団体に声をかけないといけないですし。

――小橋さん的にFortune Dreamにはこういう人に出てほしいみたいな、基本みたいなものは何かあったりしますか。

基本というか、やっぱり一生懸命な選手がいいなと。試合に一生懸命であったり、自分のスタイルに自信を持っていたりとか。そういう何かに一生懸命な人がいいかな。

――なるほど。小橋さん自身が長いプロレス人生の中で、本当にその一生懸命さで私たちファンを喜ばせてくれた。そういう小橋さんがある意味認めた人だから、この大会に参戦しているという風にファンは見ていると思います。

出場してくれたあとに名前が知れ渡ったという選手もいました。『いい試合してるな』『あの選手いいね』と広がっていきますし。そういう注目をされる大会にしていきたいなと思って開催しています。今年で8回目です。

――8回、いろいろ大変だったと思いますけれども。でもこれをやり続けてきて、やっぱり良かったですよね。

そうですね。やっぱりいろんな試合を見られますし。トークバトルとか、そういうこともいろいろ取り入れた試合形式。女子プロレスを入れて、トークバトルも入れてという形でやってきて、今回女子の試合が2試合ある。それだけ女子の試合がクオリティが高くなってきているというのもあるんですね。今回もKAIRI選手に声をかけたら、チーム200キロも出てくれたりとか。今回、里村明衣子選手にも電話したんですけど、彼女はWWEでいまでれないんですよね。

――そうですね、ご本人は今出られない。

あとチームでも面白いなとか。今、〇〇も候補に上がってますよ。

――でも小橋さん、その辺の視野が広いですね。

そういったいい選手たちなど、どんどん声をかけていきたいと思っています。

④引退してから10年が経過し、現在振り返っての心境とは?

※写真提供:伊藤ミチタカ氏

ーー引退してからちょうど10年が経過します(2013年5月11日、日本武道館)。引退後の10年を振り返ってみて、なかなか一言で表すことはできないですけれど、いかがですか。

10年。早いようで、長いような。長いようで、早い。早いようで、長い。10年ひと昔って、昔言ったじゃないですか。今、10年ひと昔じゃないですよね。

――10年、すごいですよね。小橋さんのことはデビューの時から観てました。小橋さんのファイトに本当に勇気づけられました。全日本プロレスでは鶴田さん天龍さん、そして四天王を含めて、皆さんの試合で勇気と元気を頂きました。そういう偉大な方とこうやってお話しできるのは、本当に幸せの極みです。

僕らはそうやって応援してもらったことは、やっぱり宝ですよ。プロレスをやって一番嬉しかったことってそういうことですね。応援してもらったことが、やっぱり一番嬉しいです。

――小橋さんがマット界で築いて来られた歴史に、今も勇気づけられてるファンの人が沢山います。今もイベントに熱心に駆けつけるファンも多いですし。こうやってプロレス界に携わってしっかりとOBとして応援してくれている姿。そしてプロデューサーとしてやっている姿を見られるのは、ファンとしては本当に嬉しいと思います。

そうですかね。

――私自身もやっぱり感激していますし。あの四天王時代の人なんかは、やっぱりあの激烈を極めた、究極ギリギリの極限ファイトを演じてこられた方という部分では、本当にもう尊敬の言葉では語りきれないくらいのものがありますね。

そう言ってくれると嬉しいです。

➡次ページ(ジム経営、大会に向けメッセージ)へ続く

⑤エニタイムフィットネス等々力のオーナーとなって選手が多数訪問

ーーそしてエニタイムフィットネス等々力のオーナーとして選手が今、多数訪問するようになりました。棚橋選手だとか潮崎選手だとか、つい最近も来られていたと思います。

そうですね。色んな選手が来てくれて嬉しいですね。日本人選手だけじゃなく外国人選手も来てくれて、こないだイタリアから来たっていう選手もいました。もちろん試合に来てて、僕に『会いたい』って言って来てくれたんです。

――嬉しいですよね。

嬉しいですね。僕は海外であまり試合をやってないので、試合を見て海外の人が好きだと言って来てくれるのは本当に嬉しいですよね。

――でもROH始め小橋ファンというのはレスラー間でもものすごく多いですよね。海外の選手もそうですし、日本の選手もそうですし。やっぱり小橋さんの練習熱心さだとか情熱みたいなものが、秋山さんも以前おっしゃってましたけど、本当に小橋さんがやり過ぎるから、もうやらざるを得ないというか。

引退してから日本のホテルで外国人の人に声をかけられたんです。英語で『小橋か』と。「イエス」。『ROHで試合を見た』と。

――観戦していた方だったんですか。すごい。

声をかけられましたね、外国人の人に。引退してからハワイとか行ったらよく『見てた』とか、『ハンセンとの試合を見たりしてた』とか。

――そうなんですね。ハワイはプロレスは文化として根強い部分ももちろんありましたし、馬場さんの愛した休息地でもありました。

ハワイは日本人も多いので声をかけられる率も高い。でも日本で外国人に声をかけられるというのは、その人が試合を見たというのもすごいなと。

――奇跡ですよね。まさかそんなところで、その人も会えると思っていなかったと思うので、めちゃくちゃ嬉しかったと思いますね。

その会場いっぱいで何人くらいいるのか分からないですけど、その中にその人がいたという。

――すごい旅してるな、その方は。ものすごい嬉しい旅だっただろうなと思いますね。

そういう自分がやってきたことを見てくれて、覚えていてくれて。自分がやってきたプロレスに感動してくれた、感銘というんですかね。それをずっと覚えていてくれて。偶然会ったときにそのときの感動をそのまま伝えてくれるという、その嬉しさというのは、プロレスのすごさかなと思いますね。そのときに思いをぶつけてくれて、そういう話ができるというのは僕は嬉しいですね。自分がやってきたことに間違いはなかったと思うときですよね。

――本当にリビングレジェンドの小橋さんなので、全世界のファンも含めて今回のFortune Dreamというのを、これからも継続的に僕らはやっぱり見ていきたいですし、小橋さんが頑張っている姿がみんなの元気にも繋がっていくんじゃないかなと思います。

最後に、大会に向けメッセージ

ーー最後に大会に向けて、皆さんにメッセージをお願いします。

まだまだたくさんの選手がいます。出てくれる選手、見たいと思ってくれている選手、選びたいと思う選手もいっぱいいるので。これからどんどん、どんどん、出てほしいなというか、チャンスを掴んでほしいですね。Fortune Dreamのリングでチャンスを掴んでほしい。そのためにはファンの皆さん、必ず後楽園に集まってほしいなと思います。大会の一番最初に開会宣言をします。声出しOKなので、そのときに皆さんの小橋コールを待っています。そして、主役は選手であり、熱い試合であり、ファンのみんなです。選手たちがみんなの期待を超えるような試合ができるよう、たくさんの応援よろしくお願いします。

――本日は貴重なインタビュー、本当にどうもありがとうございました。Fortune DreamをプロレスTODAYでも大応援しております。

インタビュアー:山口義徳(プロレスTODAY総監督)

▼第1弾インタビュー

小橋建太完全プロデュース興行第8弾『Fortune Dream 8』
日時:2023年6月14日(水)17:45 開場/18:30 開始
会場:後楽園ホール

▼第一試合
永尾颯樹 vs 高鹿佑也

▼第二試合
火野裕士&クワイエット・ストーム
vs
岡林裕二&大門寺崇

▼第三試合(トークバトル)
小橋建太 vs スタン・ハンセン

▼第四試合
KAIRI vs ウナギ・サヤカ

▼第五試合
鈴木みのる&秋山準
vs
橋本千紘&優宇

▼メインイベント
T-Hawk&青柳優馬&野村卓矢
vs
遠藤哲哉&田村ハヤト&吉田綾斗

◆大会詳細は公式サイト&公式Twitterにて
公式サイト

公式Twitter
https://twitter.com/FortuneKK_0327

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