信頼できる保険営業員が必ず説明することとは? 民間保険の賢い使い方

「生命保険」に加入するときに、保険の営業員に説明を受けてから契約するのが一般的だと思います。実際に7割以上の人が、生命保険の営業職員、または保険代理店の窓口や営業職員から加入しています。

その場合、少しでも信頼できる営業職員の人から、保険に入りたいと思いますね。信頼できる保険営業員を見分ける方法としては、「キチンと公的保険について説明をしているか 」です。


金融庁は、「保険会社向けの総合的な監督指針」を改定して、民間の保険募集に関して、公的保険制度等に関する適切な情報提供を行うように指導しています。つまり、「年金なんてあてにならないです!」「治療費の負担がとても大きいですからね」なんて、不安を煽って保険を募集してはいけないということです。

信頼できる保険営業を見分ける「コツ」は、しっかりと公的保険を説明しているかどうかです。逆に公的保険を説明していなくて不安を煽る人は、信頼できない保険の営業員だといえます。では、「公的保険って何か?」を説明してみましょう。

公的保険とは何か?

「自分は、保険が嫌いだから、保険には何も入っていない」と言う人もいますが、これは勘違いです。

少なくとも、加入が義務づけられている「公的年金」と「公的医療保険」には入っているはずです。そして40歳以上になれば、介護保険に加入します。また会社員ならば、厚生年金、雇用保険などに必ず入っているはずです。これらが、公的保険なのです。

公的保険は強制加入で、給与などから天引きになっているので、保険料を支払っているという意識があまりありませんが、日常生活のケガや病気などでさまざまなリスクに対応できるようになっています。一方、民間の保険は任意加入です。公的保険をよく理解していなくて、民間の保険ですべてを補おうとすると保険料はかなり高くなります。保険料が家計を圧迫するようでは、本末転倒になります。

ですので、まずは公的保険にはどんなものがあり、どのくらい保障されるのかを知っておく必要があります。そして足りない分を民間の保険で補うのが賢い保険の使い方です。

公的年金

まずは、公的年金についてです。公的年金は、高齢になったときの「老齢年金」のイメージですが、それだけではありません。死亡保険の役割を持った「遺族年金」、就業不能保険の役割を持った「障害年金」という機能を持っています。

遺族年金は、年金受給者や被保険者が亡くなった時に、遺族である配偶者や子どもたちなどが給付を受けることができます。障害年金は、病気やケガによって障害の状態になったときに給付が受けられます。この「障害の状態」というのには、がんや糖尿病などで、仕事や生活に著しく制限を受ける状態になったときも含まれます。

そして高齢になったときに受け取れる「老齢年金」があります。受給開始は60歳から75歳までの間で、なんといっても終身で受け取ることができるので、老後生活の基礎なるお金です。民間の保険でいうと個人年金保険です。

公的医療保険

日本は皆保険制度なので、必ず公的医療保険に加入しているはずです。病院などで保険証を提示すれば、3割負担で大丈夫です(義務教育前は2割負担ですが、自治体により異なる)。70歳以上の人は、後期高齢者医療制度になるので、1〜3割の負担です。また、入院などで1ヶ月の支払いが高額になった場合には、高額療養費制度があるので、年齢や所得に応じて、自己負担の限度額が決まっています。

この高額療養費制度があるので、入院や手術をしたとしても、自己負担額が多くなることはありません。民間の医療保険に入る人も多いのですが、そもそも自己負担はそれほど多くないので保障としての優先度は低いものです。

傷病手当金

公的医療保険には、「傷病手当金」があります。これは会社員や公務員などが対象となります。病気やケガで4日以上連続で仕事を休んだ場合に、給料(標準報酬月額平均額)の3分の2を受け取ることができます。支給される期間は、通算で最長1年6ヶ月です。民間保険でいうと、就業不能保険・所得補償保険と同じような役割です。

ただし、自営業者・フリーランスの人には「傷病手当金」はありません。また、労災保険は、労働者の業務上の事由、通勤途中などにケガをした場合に、給付されます。療養費や休業補償、障害給付などもあります。

公的介護保険

「公的介護保険」とは、要介護状態になると、原則1割負担でさまざまな介護サービスを受けることができます。受けられるサービスの限度額は、要介護度によって異なります。民間の介護保険や認知症保険は、要介護状態になると保険金が支払われます。つまり現金支給の保障です。

雇用保険

雇用保険のなかでよく知られているのが、失業給付です。仕事を辞めた後、次に就職するまでの間の生活を支えてくれる資金になります。その他、教育資金給付金のように資格を取るのに給付金を受け取れる制度もあります。ちなみに民間の保険では、これに対応している保険はありません。そのほか、公的保険のなかには、自立支援医療や障害福祉サービスなどさまざまなものがあります。


公的保険と民間保険を比べると、圧倒的に公的保険の方が保障は手厚いです。まずは公的保険には、どの程度の保障があるのかを知ってから、それでも足りない分を民間の保険で補うという考え方が賢明でしょう。それが民間保険の賢い使い方です。

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