【ミャンマー】英人権団体、宝石小売業者に産地証明を要求[鉄鋼]

英国に拠点を置く非政府組織(NGO)「英国ビルマキャンペーン(BCUK)」は5月30日、英国の宝飾品小売り大手40社に対し、販売する宝石がミャンマーから調達されていないか証明するよう求める声明を発表した。

BCUKは声明で、ミャンマー国軍が国有企業や政府省庁、支配下にない地域の貿易ルートの管理、合法・非合法の取引、国軍関係者の家族によるビジネスなどを通じて、宝石産業から利益を得ていると指摘。利益は国軍による武器や装備の購入に使われ、人権侵害が助長されていると非難した。

BCUKの調べでは、ほとんどの小売業者がルビーなどの宝石について原産国を明示していないという。

BCUKでディレクターを務めるマーク・ファーマナー氏は、「ミャンマー産宝石を販売するとミャンマー国軍に資金を提供する恐れがあるということを知らない小売業者に、リスクに注意を向け、正しい行動をとる機会を与えたい」と述べた。

その上で、各社からの回答を基に報告書を作成し、証明できない企業の社名を公表するほか、ミャンマーの人権侵害に加担していると見なした国際企業を対象とする「ダーティーリスト」への掲載などを検討すると警告した。

2021年には、英国の「グローバル・ウィットネス(GW)」や米国の「ロヒンギャ国際キャンペーン」といった団体の働きかけで、大手宝石商のハリー・ウィンストンがミャンマーからの調達停止を発表。同じくティファニーは03年、カルティエは17年から、ともにミャンマー産宝石の取り扱いを停止している。

国連貿易統計によると、22年にミャンマーから貴石・半貴石を輸入した主な国・地域と輸入額は、◇中国:40億7,396万米ドル(約5,686億円)◇米国:3,909万米ドル◇スイス:790万米ドル◇フランス:708万米ドル◇英国:700万米ドル◇日本:224万米ドル——だった。

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