茨城県農産物 輸出13億円突破 過去最高 畜産は2.3倍増

茨城県の青果物、コメ、畜産物を合わせた農産物の2022年度輸出額が前年比35%増で13億円を突破し、過去最高を更新した。県が1日、発表した。アジア向けのサツマイモの増加などで青果物が初めて5億円を突破したほか、タイ向けの同県ブランド牛「常陸牛」や香港向けの鶏卵が伸びたことで畜産物が2.3倍増となり、全体をけん引した。

県は支援した事業者への聞き取りにより、同県農産物の輸出額と輸出量を調べた。輸出額は13億1607万円、輸出量は20%増の4697.5トンで、ともに過去最高を更新した。更新は集計を始めた翌年の16年度から7年連続。

輸出額の内訳は、青果物が最も多く、18%増の5億590万円。このうちサツマイモが7割超を占め、東南アジアの旺盛な焼き芋需要もあって12%増だった。ねっとりとした食感と甘みが特長の「紅はるか」が人気を呼び、シンガポール向けは前年の15倍に跳ね上がった。

畜産物は4億2160万円。タイ向けの常陸牛がコロナ禍から回復し、過去最高だった18年の9割超まで戻った。香港向け鶏卵は、現地の鳥インフルエンザの影響拡大などから日本産の需要が高まり、輸出量が3倍増となった。

コメは8%増の3億8860万円。香港やシンガポール、米国向けが堅調に推移した。昨年8月にはオーストラリアへの輸出を本格的に開始。「冷めてもおいしい」と高い評価を受けているという。

県は、人口減少による国内市場の縮小を見据え、農業産出額全国3位の同県の生産力を生かそうと、輸出の促進に力を入れている。中でも、常陸牛、コメ、サツマイモを「輸出の主要3品目」と位置付け、各国・地域のニーズを捉えた販路拡大を進める。

県農産物輸出促進チームの樫村裕章チームリーダーは「現在の品目の輸出量を増やすとともに輸出額を伸ばすことで、海外への販路拡大を目指す事業者の意欲を一層高めていきたい」としている。

© 株式会社茨城新聞社